診療支援
検査

凝固因子活性検査 第Ⅴ因子《不安定因子》   223点(包)
factor Ⅴ《labile factor》
橋口 照人
(鹿児島大学大学院教授・血管代謝病態解析学分野)

基準値 75~120%


測定法 凝固法


検体量 血漿0.3mL(クエン酸加)


日数 2~6日


目的 第Ⅴ因子欠損症異常症の診断(出血症状,血栓症,両方の症状あり)


Decision Level

●25~75%(低下)

[高頻度]肝硬変,DIC [可能性]循環抗凝血素,第Ⅴ因子欠乏症保因者,再生不良性貧血 [対策]プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),ヘパプラスチンテスト(HPT),フィブリノゲンの測定

●25%以下(高度低下)

[高頻度]肝硬変,DIC [可能性]第Ⅴ因子欠乏症,自己抗体 [対策]PT,APTT,HPT,フィブリノゲンの測定,自己抗体の測定,原疾患の診断と治療.新鮮凍結血漿輸注の適応の考慮


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 第Ⅴ因子は肝や骨髄巨核球で産生され,分子量約33万,血中濃度は約10μg/mL,血中半減期は1日前後である.遺伝子は第1染色体にある.血小板α-顆粒にも約20%存在している.A1-A2-B-A3-C1-C2のドメインからなる.トロンビンによりR709,R1018,R1545が分解され活性化される.Bドメインが除去され,A1-A2重鎖とA3-C1-C2の軽鎖がCaイオンを介して結合した活性型第Ⅴ因子(FⅤa)となる.補助因子としてリン脂質,Caイオン,活性第Ⅹ因子と複合体(プロトロンビナーゼ)を作り,第Ⅹ因子によるプロトロンビンのトロンビン転換に参加する.FⅤaはプロテインSを補助因子とした活性化プロテインC(APC)によりArg306,Arg506,Arg679が分解されて失活する.まず,第Ⅴ因子のArg506がAPCで限定分解を受け,次にArg306が切断される.プロテインSはAPCの補助因子として活性第Ⅷ因子の失活に参加する.

 第Ⅴ因子の分子異常(第Ⅴ因子Leiden)(Arg506→Gln)ではAPCによるⅤaの

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