診療支援
検査

凝固因子活性検査 von Willebrand因子〔VWF〕  
von Willebrand factor
橋口 照人
(鹿児島大学大学院教授・血管代謝病態解析学分野)

基準値

・リストセチンコファクター活性(VWF:RCo):65~135%

・抗原量(VWF:Ag):数μg/mL~10μg/mL,65~135%(標準血漿中のVWF濃度を100%とした場合)


測定法 固定血小板凝集(活性),EIA(抗原),ラテックス凝集(抗原)


検体量 血漿0.5mL(クエン酸加)


日数 2~5日


目的 ①von Willebrand病(VWD)の診断,②血友病A保因者の補助診断,③血小板機能異常の評価


NOTE‍ 保険点数:129点(包)(活性),147点(包)(抗原)


Decision Level

●30~65%(低下)

[高頻度・可能性]VWD,後天性von Willebrand症候群(AVWS) [対策]第Ⅷ因子活性,出血時間,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の測定

●30%未満(高度低下)

[高頻度・可能性]VWD(特に3型,2A型),AVWS [対策]出血時間,血小板数,第Ⅷ因子活性,APTT,リストセチン誘発血小板凝集(RIPA),VWFマルチマー解析など,症状に応じマルチマーを含む第Ⅷ因子製剤の投与の考慮

●150~200%(増加)

[高頻度・可能性]DIC,心筋梗塞,白血病,全身性エリテマトーデス(SLE),糖尿病,腎炎 [対策]原疾患の治療

●200%以上(高度増加)

[高頻度・可能性]DIC,心筋梗塞,白血病,敗血症,脳梗塞,脳出血,ネフローゼ症候群,川崎病急性期 [対策]原疾患の治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 VWFは主として血管内皮細胞で産生され,骨髄巨核球もVWFを有し,血小板中にも存在する.基本分子が種々の程度にS-S結合してマルチマーを構成しており,その分子量は50万~2,000万に及ぶ.半減期は12~18時間とされている.VWF分子構造中には,第Ⅷ因子,血小板膜糖蛋白GPⅠb,GPⅡb/Ⅲa,コラーゲン,ヘパリンなど止血・血栓に関

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