基準値 75~145%
測定法 凝固法
検体量 血漿0.3mL(クエン酸加)
日数 2~6日
目的 出血傾向のあまりない第Ⅺ因子欠乏症の診断
Decision Level
●25~75%(低下)
[高頻度]肝硬変 [可能性]DIC,L-アスパラギナーゼ投与 [対策]原疾患の治療
●25%未満(高度低下)
[高頻度・可能性]第Ⅺ因子欠乏症 [対策]家族歴,出血歴の確認(出血傾向は軽度)
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
第Ⅺ因子は肝で産生され,分子量約8万の2本のポリペプチド鎖がS-S結合して分子量16万の二量体となり存在する.血中濃度約5μg/mL,血中半減期は約2~3日である.遺伝子は第4染色体にある.高分子キニノゲン(HMWK)と1対1の比率で複合体を形成して血中に存在しており,ガラス,カオリン,スルファチドなどの陰性荷電に吸着されて固相上で活性化第Ⅻ因子より活性化される.この過程にはCaイオンを必要としない.一方,活性化された血小板上においてトロンビンにより活性化される.活性第Ⅺ因子はCaイオンの存在下で第Ⅸ因子を活性化させ,トロンビン生成を促進する.
NOTE 陽性頻度
第Ⅺ因子欠乏症(常染色体潜性遺伝)の出血傾向は軽度で,出血傾向のない例もある.ユダヤ系に多いのが特徴.わが国における先天性第Ⅺ因子異常症は男性26名,女性28名,合計54名(令和3年度血液凝固異常症全国調査).
[関連する検査]
プロトロンビン時間(PT)正常,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延長の場合,第Ⅺ因子の測定を検討する.
[特定背景のある患者]
①妊娠末期に減少する例がある.②血栓症との関係が注目され,その増加は深部静脈血栓症(DVT)や心筋梗塞の危険因子とされている.
判読
①出血傾向が軽度でPTが正常,APTTが延長の場合,第Ⅺ因子欠乏症を鑑別にあげる.②新生児では低下する.
採取保存
①クエン酸血漿を
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