診療支援
検査

凝固因子活性検査 第ⅩⅢ因子   223点(包)
factor ⅩⅢ
橋口 照人
(鹿児島大学大学院教授・血管代謝病態解析学分野)

基準値 70~140%(合成基質法)


測定法 合成基質法(活性),ラテックス凝集法(抗原)


検体量 血漿0.4mL(クエン酸加)


日数 2~4日


目的 原因不明の出血(出生時の臍帯出血,頭蓋内出血)と創傷治癒不全における鑑別診断,不育症の原因検索


Decision Level

●30~70%(低下)

[高頻度]DIC,創傷治癒不全,IgA血管炎(旧Henoch-Schönlein紫斑病),大手術 [可能性]非代償性肝硬変,悪性腫瘍,Crohn病,潰瘍性大腸炎 [対策]原疾患の治療,第ⅩⅢ因子製剤投与の考慮

●30%未満(高度低下)

[高頻度]DIC [可能性]第ⅩⅢ因子欠乏症,後天性自己免疫性第ⅩⅢ因子欠乏症 [対策]DIC存在の確認.家族歴の精査.欠乏症には第ⅩⅢ因子製剤投与


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 第ⅩⅢ因子(フィブリン安定化因子,fibrin stabilizing factor;FSF)は血液凝固因子のなかで唯一のトランスグルタミナーゼであり,1分子のグルタミン(Gln)と他分子のリジン(Lys)を架橋結合する酵素であり,フィブリンのγ鎖同士やα鎖同士,フィブリンとα2-プラスミンインヒビター(α2-PI),フィブリンとコラーゲンやフィブロネクチンの間の架橋結合を行い,それぞれ安定化フィブリンの形成(凝固),フィブリン塊溶解の制御(線溶),創傷治癒に重要な役割を果たす.血中濃度は10~20μg/mL,血中半減期は10日程度である.

 第ⅩⅢ因子は血中ではAサブユニット(FⅩⅢA)2つとキャリアプロテインであるBサブユニット(FⅩⅢB)2つからなる分子(A2B2)を形成し,分子量は約30万である.Aサブユニットは血中に全体量の約1/3が存在し,血小板にも約1/3量存在している.胎盤や血小板などの細胞内ではA2二量体として存在する.遺伝子は第6染色体にある.Aサブユニット産生は脳

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?