診療支援
検査

プロテインS〔PS〕  
protein S
橋口 照人
(鹿児島大学大学院教授・血管代謝病態解析学分野)

基準値

・15~30μg/mL(総PS,抗原量)

・5~13μg/mL(遊離型PS,抗原量)

・10~20μg/mL(C4-BP複合型PS,抗原量)

・70~160%(活性)


測定法 凝固時間法(活性),EIA(抗原量),ELISA(抗原量)


検体量 血漿0.3mL(クエン酸加)


日数 2~6日


目的 ①血栓素因の原因診断,②ビタミンK欠乏の病態把握,③深部静脈血栓症(DVT),不育症の原因検索


NOTE‍ 保険点数:158点(包)(プロテインS抗原),163点(包)(プロテインS活性)


Decision Level

●35~70%(低下)

[高頻度]ワルファリン投与,ビタミンK欠乏(新生児,母乳栄養児,閉塞性黄疸,下痢,抗菌薬長期投与),肝硬変,肝癌,糖尿病,ネフローゼ症候群 [可能性]DIC,全身性エリテマトーデス(SLE),発作性夜間血色素尿症,L-アスパラギナーゼ投与,経口避妊薬,抗リン脂質抗体症候群 [対策]プロテインC(PC),トロンボテスト(TT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),プロトロンビン活性などの測定

●35%未満(高度低下)

[高頻度]ワルファリン投与,ビタミンK欠乏症,非代償性肝硬変,ネフローゼ症候群 [可能性]DIC,PS欠乏症 [対策]PC,TT,APTTなどの測定.DIC存在の確認,原疾患の診断と治療.ワルファリン投与の適応の考慮


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 PSは主として肝で合成されるが,血管内皮細胞,単球,骨髄巨核球などでも産生される.ビタミンK依存性因子であり,分子量は約8万で,N末端にはGla残基が11個存在する.血中半減期は約2日である.遺伝子は第3染色体にある.活性化プロテインC(APC)の補助因子として血中のAPCとFⅧa/FⅤaに対する細胞膜上におけるレセプター的役割を担い,FⅤaとFⅧaの失活を高める重要な凝固制御因子の1つであ

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