診療支援
検査

抗RNAポリメラーゼⅢ抗体〔抗RNAPⅢ抗体〕   170点(包)
anti-RNA polymerase Ⅲ antibody
梶山 浩
(埼玉医科大学講師・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値 陰性(28未満)


測定法 ELISA


検体量 血清0.3mL


日数 2~8日


目的 全身性硬化症(強皮症)の診断補助


Decision Level

●陽性(50以上)

[高頻度]全身性硬化症(びまん性強皮症),強皮症腎クリーゼ(SRC) [可能性]全身性硬化症(限局性強皮症),その他の膠原病.健常者では検出されない [対策]強皮症診断のための皮膚生検を実施する.皮膚硬化の強い症例に出現する抗体とされ,skin scoreで皮膚硬化を評価し,ステロイド剤,シクロホスファミド間欠静注療法(IVCY)などの治療の適応を検討する.本抗体陽性患者ではSRC合併頻度が高いため,血圧,腎機能,尿所見を評価し,腎機能障害出現に注意し,その原因精査を行う.中等量以上のステロイド投与とSRC発症との関連の既往があり,本抗体陽性症例でのステロイド投与は慎重に行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 抗RNAPⅢ抗体は,1993年にKuwanaらによってびまん性強皮症の自己抗体として報告され,同様に抗核抗体はspeckledに染まる.抗RNAPⅠ抗体や抗RNAPⅡ抗体と共存することがあり,その場合の抗核抗体はnucleolar and speckledか,speckledのみの染色パターンとなる.その後,抗RNAPⅢ抗体の対応抗原がRNAPⅢ complex subunitのRPC155であることが同定され,RPC155の891番目から1,080番目のアミノ酸からなるペプチドを利用したELISA法で抗RNAPⅢ抗体は検出されるようになった.

 びまん性強皮症で18.3%,限局性強皮症で3.3%,強皮症以外の膠原病で1.2%が陽性(28以上)となるが,健常者では陰性である.抗RNAPⅢ抗体陽性強皮症患者では,抗Scl-70抗体陽性強皮症患者,抗セントロメア抗体陽性患者に比べ,皮膚硬化の重症度が高く,SRCを併

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