基準値 陰性(28未満)
測定法 ELISA
検体量 血清0.3mL
日数 2~8日
目的 全身性硬化症(強皮症)の診断補助
Decision Level
●陽性(50以上)
[高頻度]全身性硬化症(びまん性強皮症),強皮症腎クリーゼ(SRC) [可能性]全身性硬化症(限局性強皮症),その他の膠原病.健常者では検出されない [対策]強皮症診断のための皮膚生検を実施する.皮膚硬化の強い症例に出現する抗体とされ,skin scoreで皮膚硬化を評価し,ステロイド剤,シクロホスファミド間欠静注療法(IVCY)などの治療の適応を検討する.本抗体陽性患者ではSRC合併頻度が高いため,血圧,腎機能,尿所見を評価し,腎機能障害出現に注意し,その原因精査を行う.中等量以上のステロイド投与とSRC発症との関連の既往があり,本抗体陽性症例でのステロイド投与は慎重に行う
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
抗RNAPⅢ抗体は,1993年にKuwanaらによってびまん性強皮症の自己抗体として報告され,同様に抗核抗体はspeckledに染まる.抗RNAPⅠ抗体や抗RNAPⅡ抗体と共存することがあり,その場合の抗核抗体はnucleolar and speckledか,speckledのみの染色パターンとなる.その後,抗RNAPⅢ抗体の対応抗原がRNAPⅢ complex subunitのRPC155であることが同定され,RPC155の891番目から1,080番目のアミノ酸からなるペプチドを利用したELISA法で抗RNAPⅢ抗体は検出されるようになった.
びまん性強皮症で18.3%,限局性強皮症で3.3%,強皮症以外の膠原病で1.2%が陽性(28以上)となるが,健常者では陰性である.抗RNAPⅢ抗体陽性強皮症患者では,抗Scl-70抗体陽性強皮症患者,抗セントロメア抗体陽性患者に比べ,皮膚硬化の重症度が高く,SRCを併
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/リウマチ因子〔RF〕《リウマトイド因子》 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗核抗体〔ANA〕 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗Sm抗体 [保] 151点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗Scl-70抗体《抗トポイソメラーゼⅠ抗体》 [保] 157点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗セントロメア抗体 [保] 174点
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体〔抗ARS抗体〕 [保] 190点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗TIF1-γ抗体 [保] 270点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗Mi-2抗体 [保] 270点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗Jo-1抗体 [保] 140点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗カルジオリピン抗体《抗リン脂質抗体》 [保]*
- 今日の診断指針 第8版/全身性強皮症
- 今日の診断指針 第8版/水疱性類天疱瘡