基準値 陰性(1.0IU/mL以下)
測定法 ELISA法
検体量 血清0.1mL
日数 約2週間
目的 免疫介在性壊死性ミオパチー(immune-mediated necrotizing myopathy;IMNM)診断の補助
Decision Level
●陽性
[可能性]IMNM [対策]診断確定には適切な部位の筋生検が必要
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
炎症性ミオパチーは免疫学的機序で筋線維が障害される疾患の総称であり,単に「筋炎」と呼ぶ場合も多い.臨床症状や筋病理所見,さらに自己抗体の種類によって分類・定義されるが,IMNMは病理学的に炎症細胞浸潤に欠けるかほとんどなく,筋線維の壊死・再生が顕著な像をとるとされている.自己免疫機序が想起されており,抗SRP抗体と抗HMGCR抗体とが見いだされている.
抗SRP抗体が標識するSRPは7SL-RNAと6種類のポリペプチドから構成される細胞質RNA結合蛋白である.6種のポリペプチドのなかで54kDのものが重要な機能を有すると考えられ,リボソームと結合し,膜蛋白・分泌蛋白を認識,蛋白の小胞体内での移動を調整する.
本抗体陽性のIMNM症例では亜急性から慢性の経過を呈し,小児例も報告されている.筋力低下は高度かつ血清クレアチンキナーゼ値も高値になる傾向があり,筋力低下・筋萎縮は四肢近位部の他,頸部や嚥下に関わる部位に強く生じる症例もある.
治療はいわゆる筋炎と同様,高用量の副腎皮質ホルモン剤投与を中心にγ-グロブリンや免疫抑制薬の投与が行われるが,難治性の場合もある.
本抗体は保険未収載ながら,ELISA法が開発され,商業ベースでの測定が可能である.
[感度・特異度]
本抗体はIMNM症例の40%で検出されるとされる.
[関連する検査]
抗HMGCR抗体はIMNM症例の25%で陽性とされる.抗SRP抗体と同時に陽性となることはない.
判読
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