診療支援
検査

抗デスモグレイン1抗体〔抗Dsg1抗体〕  
anti-desmoglein 1 autoantibody
天谷 雅行
(慶應義塾大学教授・皮膚科)

基準値

・ELISA:陰性(14index未満)

・CLEIA:陰性(15.4U/mL未満)

・IF:陰性

NOTE‍ 判定基準

●ELISA

・15~20index:判定保留

・20index以上:陽性

●CLEIA

・15.4~20U/mL:判定保留

・20U/mL以上:陽性


測定法 ELISA,CLEIA,IF


検体量 血清0.5mL


日数 2~8日(ELISA),1日(CLEIA)


目的 天疱瘡抗原であるDsg1に対するIgG自己抗体の検出


NOTE‍ 保険点数:300点,490点(抗デスモグレイン3抗体,抗BP180-NC16a抗体との同時測定)


Decision Level

●陽性〔20index以上(ELISA),20U/mL以上(CLEIA)〕

[高頻度]落葉状天疱瘡,粘膜皮膚型尋常性天疱瘡 [可能性]腫瘍随伴性天疱瘡 [対策]血清学的には,健常者の皮膚あるいはサル食道上皮を基質とした蛍光抗体間接法にて表皮細胞膜表面に対するIgG自己抗体の検索をする.皮膚科専門医と相談のうえ,皮膚の水疱,びらんを主体とする臨床像,病理組織学的に表皮上層の顆粒層付近での表皮内裂隙形成,直接蛍光抗体法にて患者皮膚での表皮細胞膜表面におけるin vivo IgG沈着を確認し,落葉状天疱瘡の確定診断をする.落葉状天疱瘡では,抗デスモグレイン3(Dsg3)抗体は陰性である.抗Dsg3抗体陽性である場合は,粘膜皮膚型の尋常性天疱瘡を考える.腫瘍随伴性天疱瘡を疑う場合は,リンパ球系などの悪性あるいは良性の腫瘍性増殖の有無を検索する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 天疱瘡は,カドヘリン型の細胞間接着因子であるDsg1あるいはDsg3に対するIgG自己抗体により,細胞間接着が障害され水疱を生じる疾患である.Dsg1,Dsg3ともに水疱・びらんが認められる重層扁平上皮に主に発現される.抗Dsg1,3抗体は健常者には認められな

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