診療支援
検査

抗GQ1b IgG抗体〔抗GQ1b抗体〕   460点
anti-GQ1b IgG antibody
楠 進
(地域医療機能推進機構(JCHO)本部理事)

基準値 陰性(検査施設により結果の表記法や基準値が異なるので,各施設に照会する必要がある)


測定法 ELISA


検体量 血清2mL


日数 2~3日


目的 Fisher症候群と関連疾患の補助診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]Fisher症候群,眼球運動麻痺や運動失調をきたすGuillain-Barré症候群,Bickerstaff型脳幹脳炎 [対策]末梢神経伝導検査などの電気生理学的検査,脳脊髄液検査を行う.頭部MRIを施行する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Fisher症候群は,Guillain-Barré症候群の亜型であり,同様に多くの場合に感染が先行する.この先行感染がトリガーとなって免疫系が刺激を受け,本抗体が上昇すると考えられる.Fisher症候群の先行感染は大部分が呼吸器感染であるが,感染因子は同定されないことが多い.抗体産生機序としては,抗GM1 IgG抗体と同様に「分子相同性機序」が考えられている.

 抗GQ1b IgG抗体は,急性の眼球運動麻痺および運動失調をきたすFisher症候群(2つのうちどちらか一方の不全型も含む)では9割以上の症例で陽性となる.また,部分症状として眼球運動麻痺あるいは運動失調をきたすGuillain-Barré症候群,Fisher症候群の症状に意識障害や錐体路徴候などの中枢神経障害の症状を伴うBickerstaff型脳幹脳炎でも陽性である.すなわち,本抗体はFisher症候群および関連疾患に特異的かつ高頻度にみられる抗体であり,他の病態でみられることはほとんどなく,診断的価値はきわめて高い.眼球運動に関わる脳神経の傍絞輪部と後根神経節の一部の神経細胞にGQ1bが局在しており,本抗体がそれらの部位に結合して発症機序に関わると考えられている.


[感度・特異度]

 Fisher症候群として感度90%,Fisher症候群関連疾患とし

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