基準値
・κ型 3.3~19.4(mg/L)
・λ型 5.7~26.3(mg/L)
・κ/λ比 0.26~1.65
測定法 ラテックス比朧法,レーザーネフェロメトリー
検体量 血清1.0mL
日数 2~4日
目的 血清中の遊離免疫グロブリン軽鎖のκ型とλ型の比率から単クローン性の形質細胞増殖を検出
Decision Level
●κ/λ比異常
[高頻度・可能性]健常者における血中免疫グロブリン遊離L鎖(FLC)κ/λ比は,腎機能に影響されず0.26~1.65の範囲に分布する.κ/λ比が1.65よりも大きい場合はκ型,0.26より小さければλ型のクローナルな形質細胞増殖を意味する
●量的異常
[高頻度・可能性]FLCは腎から排泄されるので腎機能障害時はFLC自体は高値となるが,κ/λ比は基準範囲内にとどまる.同様にポリクローナルに免疫グロブリン産生が亢進する膠原病などの病態においてもFLCκ鎖,λ鎖の波及上昇はあってもκ/λ比の異常はみられない.多発性骨髄腫,特にBence Jones型では異常高値となる.また完全型免疫グロブリンを検出できない非分泌型と呼ばれるタイプにおいても単クローン性のFLCを検出しうる
NOTE 単クローン性の異常免疫グロブリン血症の検出には,従来蛋白電気泳動と免疫固定法(あるいは免疫電気泳動)が用いられてきた.その測定感度は前者が500~2,000mg/L,後者が150~500mg/Lとされている.それに対して遊離L鎖(FLC)の測定感度は5mg/Lと鋭敏であり,より微量の単クローン性L鎖も検出可能である.しかし,正常の多クローン性のものも測定されるため,κ型λ型それぞれを測定し,定量と同時にκ/λ比を評価する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
免疫グロブリン軽鎖(L鎖)にはκとλという2つの種類がある.L鎖は重鎖(H鎖)より多く産生され,H鎖と結合しないFLCは細胞外に放出
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