診療支援
検査

CD34陽性細胞定量
CD34 positive cell
三﨑 義堅
(京都桂病院・膠原病リウマチ科部長)

基準値

・末梢血単核球の1%以下

・骨髄血単核球の1%以下


測定法 モノクローナル抗体で染色し,フローサイトメトリーで解析する


検体量 全血5mLまたは骨髄血105個以上の単核球


日数 3~5日


目的 造血幹細胞移植時の移植片中の造血幹細胞量の評価


Decision Level

●基準値以上

[高頻度]慢性骨髄性白血病,急性白血病,抗腫瘍薬化学療法後の造血回復期 [可能性]骨髄異形成症候群,骨髄増殖性疾患(骨髄線維症,真性多血症など) [対策]腫瘍性疾患の場合は,病名,病型を決定し治療を開始する.CD34陽性細胞数の定量は,造血幹細胞移植片の評価に有用とされる(疾病の診断には一部の白血病を除き有用ではない)


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 CD34は非常に未熟な造血幹細胞に発現するとされる抗原である.正常ではCD34は骨髄系細胞(顆粒球,単球,赤芽球,巨核球)にもリンパ系細胞にも分化しうる造血幹細胞(多能性幹細胞)のみに発現するが,ある種の白血病細胞も発現を認める.また,下肢虚血性疾患に対し移植される血管内皮前駆細胞もCD34陽性分画に多いとされる.

 自己複製能および多分化能を有する真の造血幹細胞は,104~106個の骨髄細胞中に1個の頻度で存在する.CD34陽性分画は,この造血幹細胞を多く含むと考えられており,造血幹細胞移植,特に末梢血幹細胞移植の際は,移植片の評価のために供血者(自家の場合は患者自身)から回収した単核球集団に含まれるCD34陽性細胞を定量する.普通の状態では末梢血にはCD34陽性細胞はほとんど認められないため,化学療法から造血が回復する時期や,G-CSFなどの造血因子を用いて幹細胞を末梢血中に動員した後にアフェレーシスにより回収する.

 輸注CD34陽性細胞数と生着率に高い相関があるため,一般に移植には2×106個/kg以上のCD34陽性細胞が輸注されることが望ましい.ま

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