基準値 口腔内常在菌叢
NOTE 上気道(鼻咽頭・口腔)にはStreptococcus属,Neisseria属などの常在菌が存在するため,喀出痰,咽頭分泌物,口腔分泌物などの検査材料ではこれらの常在菌が検出される.下気道のうち気管から分岐部まではほぼ無菌,気管支や肺胞は無菌である.鼻腔分泌物からは,皮膚の常在菌であるStaphylococcus属やCorynebacterium 属が検出される
測定法 好気培養,炭酸ガス培養,嫌気培養
検体量 喀出痰は少なくとも全体の1/3膿性痰の存在が望ましい
日数 2~7日
目的 呼吸器感染症の起炎菌検出
NOTE *保険点数:同一検体について一般培養と併せて嫌気性培養を行った場合は122点を加算する
Decision Level
●陽性
[高頻度]鼻炎,副鼻腔炎,咽頭炎,気管・気管支炎,肺炎,胸膜炎,慢性気道感染症の増悪 [対策]グラム染色所見,培養検査の結果,および臨床症状を総合的に判定し,有効な抗菌薬の投与を考慮する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
呼吸器感染症の起炎菌を特定するには,なるべく常在菌が混入しないように検体を採取することが望ましい.呼吸器系検体(表135図)を示す.採取法により分離される菌種の意義づけが異なることに注意する.⑤~⑦は患者側の負担が大きいので,①,②の方法が多く用いられている.
喀出痰は,肉眼的品質評価(表136図)と顕微鏡的品質評価(表133図)があり,一般的には,膿性痰で多核白血球の多くみられる痰が培養検査に適している.良質な痰が採取された場合には,グラム染色による起炎菌の推定が可能である(基本検査テクニック「グラム染色」図44図).
検出された菌が呼吸器感染症を起こしているかは,検体の肉眼的評価,グラム染色での貪食の有無などの顕微鏡的評価をもとにして,嚥下困難や呼吸状態,胸部X線,血液ガス分析などを参考に総合的
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