診療支援
検査

真菌検査  
(pathogenic) fungi test
佐藤 智明
(国際医療福祉大学成田病院検査部・技師長)
森屋 恭爾
(東京大学保健・健康推進本部・保健センター)

基準値 無菌部位からの材料において陰性


測定法

●直接鏡検法 鏡検は培養検査を補助するために行うもので,培養を省略してよいというものではない.しかし,適切な処置を行うのに必要な情報を与えるばかりでなく,迅速にその真菌の病原的意義を判断する一助となる.鱗屑などの皮膚検体はKOH法が使用され,深部皮膚真菌症や深在性真菌症にも広く適用される.墨汁法はCryptococcusの莢膜観察に最適な方法である.他にも蛍光染色(ファンギフローラY染色),PAS染色法,パーカーインク加KOH法,グロコットのメテナミン銀染色法(GMS染色法),改変抗酸性染色やグラム染色法なども用いられる

●分離培養法

・酵母様真菌:各種さまざまな培地が考案されているため,組み合わせて培養するとよい.形態を観察するにはコーンミール寒天培地が用いられる.クロモアガー・カンジダ培地はスクリーニングとして有効.以前は,Malassezia属の培養にオリーブ油を重層させる必要があったが,効率よく培養可能なクロモアガー・マラセチア/カンジダ培地が市販されている

・糸状菌:発育が遅く起炎菌を覆ってしまうくらい迅速に発育する腐生真菌の発育を抑えるためにはシクロヘキシミド加サブローデキストロース寒天培地(SDA)を,細菌の汚染を抑えるためにはクロラムフェニコールやゲンタマイシン加SDAを用いるとよい.真菌を分離培養するために広い面積を必要とする場合には平板培地を用いるが,主として試験管培地を用いる.純培養には,分生子の発育が良好なポテトデキストロース寒天培地が用いられる.一般的に糸状菌は分生子が飛散しやすいため,検査による曝露はもとより,検体間のコンタミネーションを防ぐためにも,作業は安全キャビネット内で行うこと.感染力の強いCoccidioides immitisが疑われる場合には,決して平板培地による培養を行ってはならない

●同定法

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