診療支援
検査

抗ストレプトキナーゼ抗体〔ASK〕   29点
anti-streptokinase antibody
米谷 正太
(杏林大学・保健学部臨床検査技術学科)

基準値

・成人:2,560倍未満

・小児:5,120倍未満


測定法 粒子凝集反応


検体量 血清0.3mL


日数 2~4日


目的 β溶血性連鎖球菌(β溶連菌)のうちA群,C群,G群の感染症診断


Decision Level

●成人:5,120倍以上,小児:10,240倍以上

[高頻度・可能性]溶連菌の感染が直接あるいは間接的に病因となる疾患(リウマチ熱,急性咽頭炎,急性扁桃炎,猩紅熱,丹毒など) [対策]他の溶連菌関連抗体の検査,抗原検索および臨床所見と併せて総合的に判断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 β溶連菌のうちA群,C群,G群の感染により,菌体外産生物質である酵素(streptokinase)に対する抗体(ASK)が産生される.その産生された抗体を検出し定量する検査法である.ASKの上昇は感染から約1週間後に始まり,2~4週後にピークに達し,合併症や再感染がなければ,通常6~8カ月以内に感染前の値に下がる.

 臨床症状の裏づけとしての診断的意味をもち,ASKの値により感染の強さや続発性の有無とは相関しない.

 溶連菌感染症後急性糸球体腎炎やリウマチ熱に罹患した場合には,細菌培養法や抗原迅速検査を実施しても陰性となる場合が多く,続発性疾患の診断に有用である.

 β溶連菌感染症の診断根拠として,急性期は感染病巣からの菌検出に重点がおかれるが,回復期や続発性疾患ではASOやASKの有意上昇を確認することによってβ溶血性連鎖球菌の先行感染を推定することができる.


[関連する検査]

①抗原迅速検査,細菌培養検査.②β溶連菌が産生する菌体外毒素に対する抗体.③抗ストレプトリジンO抗体,抗デオキシリボヌクレアーゼB抗体測定,抗ヒアルロニダーゼ抗体測定など.


判読

①ASKはA群だけでなく,C群やG群連鎖球菌による感染症でも異常値を示す.②高コレステロール血症,βリポ蛋白血症,ウイルス肝炎,閉塞性黄疸,ネフロ

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