基準値 陰性
測定法 ラテックス凝集法(LA)
検体量 脳脊髄液(0.5mL以上)または培養した集落
日数
・院内検査:約20分
・院外検査:2~3日
目的 髄膜炎菌による髄膜炎の迅速診断
Decision Level
●陽性
[高頻度]侵襲性髄膜炎菌感染症 [対策]本菌の抗原検出と同時に,グラム染色および分離培養を行う.本菌は自己融解を起こすため,材料採取後はできるだけ早く菌の分離培養を行う.薬剤感受性試験が判明するまでは第3世代セフェム系抗菌薬が標準的な治療となる.ペニシリンGのMIC<0.1μg/mLであればそちらに変更して治療を継続することが可能である
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
侵襲性髄膜炎菌感染症が疑われる患者の髄液中には,各髄膜炎菌のいずれかの特異的な多糖体抗原が存在している.これらの多糖体抗原に特異的なIgG抗体を感作させたラテックス粒子を用いて,ラテックス凝集反応により,髄膜炎の起炎菌を決定する.本菌は血清学的に13種以上の群に分類され,そのうち感染症の流行としてはA,BおよびC群が多い.ヒトの鼻咽腔に生息し,健常者の約0.4%から検出される.この健常保菌者が最も重要な感染源となり,感染経路は飛沫感染である.菌は鼻咽腔粘膜下から血中に入り脳脊髄膜に達して化膿性炎症を起こす.本症は本質的には菌血症であり,その過程で,点状出血性発疹,発熱,悪寒,筋痛,関節炎などの症状があり,急性副腎不全症(Waterhouse-Friderichsen症候群)となることがある.近年,日本の患者発生数は年に40人前後で,好発年齢は0~4歳と15~19歳である.本症は重篤であり,予後改善のために早急に適切な化学療法を開始する必要がある.また大流行を起こすこともあることから,迅速に起炎菌を決定することが重要である.
[感度・特異度]
本検査による髄膜炎菌の検出率は,50~93%と報告されている.
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/A群β溶連菌迅速試験定性 [保] 124点
- 臨床検査データブック 2023-2024/肺炎球菌抗原定性(尿・髄液) [保] 146点
- 臨床検査データブック 2023-2024/ヘモフィルスインフルエンザb型(Hib)抗原定性(尿・髄液) [保] 132点
- 臨床検査データブック 2023-2024/髄液中B群溶連菌抗原
- 臨床検査データブック 2023-2024/カンジダマンナン抗原《カンジダ抗原》 [保] 134点
- 臨床検査データブック 2023-2024/クリプトコッカス・ネオフォルマンス抗原 [保] 174点
- 臨床検査データブック 2023-2024/クラミジア類 クラミジア・シッタシ《オウム病クラミジア》 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/マイコプラズマ類 マイコプラズマ・ニューモニエ抗原《マイコプラズマ抗原》 [保]*
- 新臨床内科学 第10版/1 ジフテリア
- 今日の診断指針 第8版/リステリア症
- 今日の小児治療指針 第17版/リステリア感染症