診療支援
検査

スピロヘータ類 ボレリア・ブルグドルフェリ抗体《ライム病診断》
Borrelia burgdorferi antibody《Lyme disease antibody》
米谷 正太
(杏林大学・保健学部臨床検査技術学科)

基準値 陰性


測定法 蛍光抗体法(IFA),酵素抗体法(ELISA)


検体量 血清1.0mL


日数 2日


目的 ライム病の診断


Decision Level

●陽性〔IFA256倍以上,ELISA OD比0.41以上(アメリカCDC法)〕

[高頻度・可能性]ライム病,各種ボレリア感染症,梅毒トレポネーマ,その他の抗スピロヘータ抗体保有者,自己抗体陽性者,歯周炎 [対策]流行地での媒介マダニとの接触機会などの疫学的背景,遊走性紅斑やその他ライム病に合致する臨床症状などから総合的に判断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ライム病は,起因菌のBorrelia burgdorferiを保有するマダニ類の媒介により生じる全身性感染症である.1977年に,米国コネチカット州ライム地方で,若年性関節リウマチ様関節炎が集団で発生し,ライム関節炎として初めて報告された.

 ライム病の原因菌であるB. burgdorferiは,genotypeによる分類が行われつつあり,現時点ではB. burgdorferiB. gariniiB. afzelii,DN1272の4種が記載されているが,今後も亜種が増えていく可能性がある.

 ライム病は現在,北米,ヨーロッパ,オーストラリア,アジアと広く分布している.ライム病は早期(Ⅰ期,Ⅱ期),後期(Ⅲ期)に大別され,早期は遊走性紅斑,ボレリア性リンパ球腫,循環器症状,神経症状,関節痛などをきたし,後期には慢性萎縮性肢端皮膚炎,関節炎,慢性の神経障害などを呈する.

 IFAは,フルオレセイン標識抗ヒトIgG,またはIgM抗体を利用している.スピロへータを顕微鏡用スライドに固定化し,患者試料の連続希釈液と一緒にインキュベートし,洗浄後フルオレセイン標識抗ヒトγ-グロブリンと反応させ,スライドをUV光のついた顕微鏡で測定する.数少ない検体では効果的な方法だが,多数の検体のス

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