診療支援
検査

A型肝炎ウイルス〔HAV〕   146点(包)
★★
hepatitis A virus
中山 伸朗
(埼玉医科大学准教授・消化器内科・肝臓内科)
持田 智
(埼玉医科大学教授・消化器内科・肝臓内科/診療部長)

基準値

●IgM型HA抗体

・CLIA:陰性(0.8未満).0.8~1.1の場合は判定保留

●IgG型HA抗体

・CLIA:陰性(1.00未満)


測定法 CLIA


検体量 血清0.2mL


日数 2~5日


目的 A型肝炎ウイルス感染の有無の評価(現感染か既感染か)


Decision Level

●IgM型HA抗体:陽性(CLIA:1.2以上)

[高頻度]急性A型肝炎(確定診断できる) [対策]原疾患の治療

●IgG型HA抗体:陽性(CLIA:1.00以上)

[高頻度]A型肝炎,HAV感染の既往,A型肝炎ワクチン接種後 [対策]以前のHA抗体検査は,IgG,IgM,IgA型HA抗体の総和であったが,現在はIgG型を測定している.IgM型HA抗体が陰性でIgG型HA抗体が陽性の場合はHAVの既往感染を示す.血液生化学検査によるビリルビン値,トランスアミナーゼなども参考にして判定をする.全クラスのHA抗体を検出する検査試薬(ケミルミ®HA抗体,シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社)も販売されている


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 A型肝炎は,HAVの経口感染により引き起こされる急性肝炎で,HAVの感染後2~6週の潜伏期を経過して発症する.慢性化することはない.中年~高齢者のHAV感染は重症化することがある.以下に各マーカーの特徴をまとめ,A型肝炎の経過に伴う動きを図90に示す.

・IgM型HA抗体:HAV初感染により陽性化し,発症前後から数カ月にわたって検出される(発症直後は陰性のこともある).A型急性肝炎を疑うときはこのマーカーで検査を行う.

・IgG型HA抗体:発症4週以降より陽性となり中和抗体として長期にわたり血液中に存在する.わが国では抗体保有年齢層が高齢化しており,保有率が低下傾向にある.

・HAV-RNA:感染発症のごく早期からALTピーク時まで検出(血液中,糞便中).

NOTE IgA型H

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