基準値
●HEV抗体
・IgA型HE抗体(定性):陰性
・IgG型HE抗体(定性):陰性
・IgM型HE抗体(定性):陰性
●HEV-RNA 検出されず
測定法
・HEV抗体:血清学的診断法(EIA法)
・HEV-RNA:RT-PCR法
検体量
・HEV抗体:血清0.3mL
・HEV-RNA:糞便,または血清50μL
日数 2~4日
目的 HEV感染の評価
NOTE *保険適用:IgA型HE抗体定性(HE-IgA抗体定性)のみ保険適用
Decision Level
E型肝炎の経過と抗体価を図92図に示す.
感染後ごく早期に(肝炎発症前)より血清中・糞便中HEV-RNAが検出される.肝炎症状出現早期よりIgA型HE抗体およびIgM型HE抗体は陽性化し,2~4カ月後には低下する.IgG型HE抗体は肝炎極期を過ぎてから陽性化し,長期にわたり持続する.
●IgA型HE抗体:肝炎発症早期より陽性を示す(2~4カ月持続)
感度98%,特異度100%.IgM系(研究用)は非特異反応があり,偽陽性が出現する
●IgG型HE抗体(研究用):陽性
既感染時も陽性となる
●PCR:HEV-RNAの検出
感染後ごく早期にのみ検出される
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
HEVの経口感染によって引き起こされる急性肝炎がE型肝炎である.以前は,わが国では輸入感染症として位置づけられていた.インド,中央アジア,アフリカ,メキシコでの流行が報告されている.
しかしながら,わが国でも2001年以降,海外渡航歴のないE型肝炎の発症例とその遺伝子配列が報告されており,以前より土着するわが国固有株の存在が明らかとなった.さらにイノシシ,シカ,ブタが感染源と考えられており,今日では人畜共通感染症として位置づけられている.
HEV感染から発症までの潜伏期間は2~9週間平均で約40日である.劇症化の頻度は1~2%と高く,特に妊婦の感染では20~30%に
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