診療支援
検査

ノイラミニダーゼ
neuraminidase
栁原 克紀
(長崎大学大学院教授・臨床検査医学)

基準値 陰性


測定法 酵素免疫測定法


検体量 咽頭ぬぐい液


日数 25分(院内検査)


目的 インフルエンザウイルスによる感染症の診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]A型,B型インフルエンザウイルス感染症 [対策]①検出限界を考慮し,A型あるいはB型インフルエンザを疑うが陰性で抗原検出の必要がある場合は,ウイルス分離,あるいはRT-PCR法などを試みる.②結果が陽性であっても,他のウイルスや細菌による重複感染,二次感染の可能性も考慮しておく


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 インフルエンザウイルスは,核蛋白,膜蛋白の抗原性の違いから,A型,B型,C型に区別される.A型およびB型インフルエンザウイルスには表面膜上の糖蛋白質の1つであるノイラミニダーゼがあり,ウイルスの侵入により気道粘膜上皮細胞に発現したシアル酸とヘマグルチニンの結合を阻止する酵素として働いている.このノイラミニダーゼの活性を利用して,A型,B型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに特異的なノイラミン酸誘導体を基質とした酵素反応により,A型,B型インフルエンザウイルスの迅速検出が可能となった.A型,B型の型別はできないが,これにより,早期診断と治療において有効な抗インフルエンザ薬の選択の一助となる.


[関連する検査]

①インフルエンザウイルスの型別を知りたい場合,A型インフルエンザウイルス抗原検査,B型インフルエンザウイルス抗原検査を行う.②必要によりインフルエンザウイルス抗体を測定する.


判読

 インフルエンザウイルスがもつ酵素活性を直接利用しているので,ウイルスが排泄される発症早期に採取した検体で測定する.


採取保存

 凍結をさけ,専用容器で冷暗所に保存.


推奨する総説

 鈴木陽一ほか:ウイルスと宿主のかかわりあい.高田賢蔵(編):医科ウイルス学 改訂第3版.pp138-141,南江堂,2009


(栁原 克紀)

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