基準値 50~100ng/mL
測定法 SRID,TIA
検体量 血清0.1mL
日数 5~8日
目的 溶血性貧血の補助診断およびその重症度判定
Decision Level
●50ng/mL以下(低値)
[高頻度]溶血性疾患(自己免疫性溶血性貧血,悪性貧血,遺伝性球状赤血球症,夜間発作性血色素尿症など),重篤な急性肝炎,劇症肝炎,活動性慢性肝炎,肝硬変,ネフローゼ症候群,蛋白漏出性胃腸症,吸収不良症候群,ポルフィリン症 [対策]各種血液学的検査,特にハプトグロビンの同時測定,画像診断による鑑別診断を進め,適切な治療を行う
●100ng/mL以上(高値)
[高頻度]悪性腫瘍(悪性黒色腫など) [可能性]急性および慢性の各種感染症,外傷,手術侵襲,Duchenne型筋ジストロフィー保因者 [対策]他の急性相反応蛋白の測定,血液学的検査で,悪性腫瘍の疑いが強い場合には,各種画像診断により癌の発見を試みる
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ヘモペキシンは肝で産生される分子量7万~8万のβ分画に属する血漿糖蛋白の1つである.炎症などでは急性相反応蛋白の性質を反映して増加し,悪性腫瘍では,腫瘍細胞による産生,組織崩壊による血中への逸脱により増加する.溶血性疾患では,大量のヘモグロビンの一部がハプトグロビンの減少に伴い結合できなくなると,アルブミン,ヘモペキシンと結合する.ヘム・ヘモペキシン結合体は速やかに血中から除去されるため,ヘモペキシンの値は低下する.高度の増加の場合には悪性腫瘍の存在を示唆するマーカーとなりうるが,悪性黒色腫で,腫瘍の増殖速度,治療効果をよく反映することが報告されている.
免疫電気泳動においてもヘモペキシンはトランスフェリンなどとともにβ分画の成分として検出される.
[関連する検査]
ハプトグロビンとの同時測定で,ともに低値の場合,溶血の程度が高いと考えられる.
判読
①新生児では著明
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