診療支援
検査

NCC-ST-439   115点(包)
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)
安井 寛
(聖マリアンナ医科大学特任准教授・内科学(血液・腫瘍内科))

基準値

・男性,50歳以上女性:4.5U/mL未満

・49歳以下女性:7U/mL未満


測定法 EIA


検体量 血清0.5mL


日数 3~5日


目的 乳癌,肺癌,消化器系悪性腫瘍の腫瘍マーカー


Decision Level

●増加(男性,50歳以上女性:4.5U/mL以上.49歳以下女性:7U/mL以上)

[高頻度]膵癌,胆道癌,乳癌,大腸癌,肝癌 [可能性]肺腺癌,胃癌,卵巣癌,子宮体癌,慢性膵炎,肝炎,肝硬変,胆石,胆管炎,大腸ポリープ,子宮内膜症,妊娠 [対策]CEA,シアリルLea群の糖鎖抗原(CA19-9,CA50,SPan-1,KMO1),CA15-3など他の腫瘍マーカーを同時に計測する.上述の各種悪性腫瘍の有無を検査し,癌を診断した場合には,進行癌の確率が高いことを念頭に対処する.良性疾患と診断した場合にも数カ月後に再検査する.癌の術後観察時に高値をみた場合には転移,再発の検索を行い,再発を発見できない場合にも必ず追跡調査を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 NCC-ST-439抗原は,ヒト胃癌細胞株St-4を免疫原とするモノクローナル抗体により認識される末端にシアル酸残基を有するムチン型糖蛋白で,胃癌をはじめとする各種癌組織に高率に発現し,癌患者血清中に出現する.なお,抗原構造はⅡ型のシアリルLexの特別な分子と反応することが判明した.


[関連する検査]

①良性疾患での偽陽性率が比較的少ないという特徴があり,他の腫瘍マーカーと併用することで,特異性を高めるのに有用である.②乳癌では,CA15-3やCEAとの組み合わせが再発のモニタリングに有用である.③腫瘍マーカーに用いられているErbB-2蛋白と逆相関し,両者の併用により再発乳癌の診断における陽性率の向上が期待される.


[特定背景のある患者]

 妊婦で高い傾向がある.


判読

 女性は若年者で高い傾向があり,40歳台以下の若年女性の場合

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