診療支援
検査

ガストリン放出ペプチド前駆体〔ProGRP〕   175点(包)
gastrin-releasing peptide precursor
前川 真人
(浜松医科大学教授・臨床検査医学)

基準値 81pg/mL未満(2011年ProGRP研究会で検討した結果,血漿検体で設定された).現在は複数の測定試薬があり,およそ70~80pg/mLがカットオフ値になる(血漿,血清).


測定法 ELISA,CLIA,CLEIA,ECLIA


検体量 血漿0.2mL(血清0.2mL)


日数 2~3日


目的 小細胞肺癌の診断


Decision Level

●81pg/mL以上(増加)

[高頻度]小細胞肺癌72.5%(限局型73%,進展型79%) [可能性]良性呼吸器疾患5%,非小細胞肺癌2~4%,腎障害18%,他の神経内分泌腫瘍


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ProGRPは,神経内分泌細胞で作られるガストリン放出ペプチド(GRP)の前駆体の一部分で,それ自体はホルモン活性をもたないが,GRPより血中半減期が長いため,神経内分泌腫瘍のマーカーとしてモノクローナル抗体を用いたELISAが開発された.特に,陽性率が高い小細胞肺癌のマーカーとして診断補助と,治療モニターに利用される.腎障害での増加は排泄障害と考えられており,特にステージ3以上の重症例ではカットオフ値を2~3倍高く設定するべきである.


[感度・特異度]

 小細胞肺癌の感度は,限局型で60~70%,進展型で80~90%である.


[見逃してはならない異常値]

 重症の腎障害では高値を示すため,要注意.


[関連する検査]

 他の小細胞肺癌のマーカーである神経特異エノラーゼ(NSE),および他の組織型の肺癌マーカーである癌胎児性抗原(CEA),シフラ21-1(CYFRA),SCC抗原などを一緒に測定することによって,いずれのタイプの肺癌であるかを判定する.診断がつけば,経過観察に有用な腫瘍マーカーを2つほど選択して用いる.


[特定背景のある患者]

 腎機能障害患者では,排泄障害によると考えられる上昇がみられるため,カットオフ値に注意すること.ユーイング肉

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