診療支援
検査

CA602(糖鎖抗原602)   190点(包)
carbohydrate antigen 602
前川 真人
(浜松医科大学教授・臨床検査医学)

基準値 健常女性:63U/mL以下(平均値+2SD)


測定法 酵素免疫測定法(double determinant EIA),ELISA


検体量 血清0.2mL


日数 2~4日


目的 卵巣癌の診断補助


Decision Level

●63U/mL以上(増加)

[高頻度]①著明な高値:卵巣癌72.5%(90U/mL以上は卵巣癌の確率が高い),子宮内膜症58%.②疑いが否定できない疾患:良性卵巣腫瘍17~22%,子宮体癌27.4%,子宮頸癌4% [可能性]腹膜炎,胸膜炎,婦人科以外の腫瘍(膵,胃,大腸,肝,肺の進行癌),月経期と卵胞期の女性4.7%,正常妊娠,異所性妊娠


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 CA602は,CA125,CA130とともに,モノクローナル抗体が認識する糖蛋白分子上のコア蛋白抗原で,卵巣癌,特に漿液性卵巣癌で高率に産生され,血中に検出される.本抗原はCA125分子上にあるがエピトープ構造はCA125とは異なる.

 臨床的意義はCA125,CA130と似ており,卵巣癌の診断補助と,卵巣癌と子宮内膜症の治療中および治療後のモニターに利用される.腹膜,胸膜,心膜の炎症でも血中レベルの上昇がみられる.


[関連する検査]

①CA602が陽性値の場合,母核糖鎖のシアリルTnグループのマーカー〔CA54/61,シアリルTn抗原(STN)またはCA72-4〕,ならびに癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)を測定し,これらが陽性なら卵巣癌の確率が高まる.②CA602,CA125とCA130は同じコア蛋白分子を認識する腫瘍マーカーなので,併用しない.


[特定背景のある患者]

 月経時,卵胞期前半,妊娠初期に高くなる傾向があるため,経過をみるなど注意が必要である.


判読

①CA125に比べて基準域内での変動に再現性があり,フォローアップに適する.②女性の性周期に一致して変動し,月経期から卵胞期に高い傾向が

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