診療支援
検査

γ-Sm(γ-セミノプロテイン)   194点(包)
γ-seminoprotein
安井 寛
(聖マリアンナ医科大学特任准教授・内科学(血液・腫瘍内科))
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)

基準値 4ng/mL未満


測定法 EIA,RIA


検体量 血清1mL


日数 3~5日


目的 臓器特異性が高い前立腺疾患の指標


Decision Level

●4ng/mL以上(増加)

[高頻度]前立腺癌 [可能性]前立腺肥大症,急性前立腺炎,急性尿閉 [対策]異常値をみた場合,前立腺癌を想定する.前立腺触診,尿道造影,エコー,CTなどの画像診断,細胞診,組織診,PAPなど他の前立腺腫瘍マーカーの併用などにより確定診断を行う.また急性前立腺炎でも陽性を示すため,経過観察も必要である


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 γ-Smは分子量23,000~33,000の糖蛋白で,前立腺組織から分離・精製されたセリンプロテアーゼである.γ-SmとPSAは当初別個の物質とされていたが,アミノ酸配列およびプロテアーゼとしての機能が明確となり,現在は遊離型PSAと同一物質であることが明らかになった.

 PSAは血清中ではプロテアーゼインヒビターなどと複合体を形成しており,複合型PSAと一部の非結合の遊離型PSAを合わせて総PSAとして測定している.γ-Smと総PSAの比により,複合型PSAが増加する前立腺癌と遊離型PSAが上昇する前立腺肥大症の鑑別に役立つ.


[関連する検査]

 PSAを測定し,γ-Smとの比(γ-Sm/PSA比)を測定することにより,前立腺癌(γ-Sm/PSA:低値)と前立腺肥大症(γ-Sm/PSA:高値)の鑑別に有用である.


判読

①健康男性では低値を示し,年齢による変動はみられない.②女性では検出されない.


採取保存

 前立腺への物理的な刺激により容易に上昇するため,前立腺の触診,生検,内視鏡検査前に採血.また,前立腺触診や内視鏡検査後は24時間以上の間隔をおいて採血,採血後直ちに血清分離し-20℃で凍結保存.


薬剤影響

‍ 低下5α還元酵素阻害薬(アボルブ®,プロペシア®),黄体ホルモン剤(プロスタッ

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