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検査

チミジンキナーゼ〔TK〕活性《デオキシチミジンキナーゼ活性》   233点
thymidine kinase
前川 真人
(浜松医科大学教授・臨床検査医学)

基準値 7.5U/L以下


測定法 CLIA


検体量 血清またはEDTA血漿0.4mL


日数 2~5日


目的 造血器腫瘍の診断.細胞分裂の活動性マーカー


Decision Level

●高値

[高頻度]急性白血病93%,その他の悪性腫瘍,急性ウイルス感染 [可能性]骨髄異形成症候群35%,再生肝,ウイルス疾患,妊娠 [対策]腫瘍診断には,感染のない時期を選ぶか,感染を治療した後に再検する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 チミジンキナーゼ(TK)活性は,デオキシヌクレオチド生合成の再利用系に働く酵素で,チミジンがDNA代謝に組み込まれる際,チミジンの1リン酸エステルへの変換を触媒するDNA合成酵素である.

 したがって,TK活性は,細胞の分裂増殖の指標となり,細胞分裂増殖が亢進する疾患や病態で高値となる.すなわち,悪性増殖性疾患,特に白血病や悪性リンパ腫,多発性骨髄腫など血液系悪性腫瘍の病勢判定に有用である.代表的な疾患としては,急性非リンパ球性白血病(ANLL),非ホジキンリンパ腫(NHL),成人T細胞性白血病(ATL),慢性骨髄性白血病(CML),骨髄異形成症候群(MDS)などで高値を示す.なかでもNHLでは悪性度が高いほど高値となり,治療前のTK活性が10U/L以上の群では,10U/L未満の群より予後不良とされている.また,多発性骨髄腫でも同様に10U/L以上の群では予後不良という予後予測因子となりうると示されている.さらにCMLは急性転化時に著しい高値をとるという報告もある.

 他に,EBウイルスやサイトメガロウイルス,風疹ウイルスなどのウイルス感染症でも上昇することがあり,臓器移植時のウイルスの再活性化に対する抗ウイルス薬投与のモニタリングにも使用できるとのことである.


[見逃してはならない異常値]

 TK活性値別の生存曲線から,40U/L以上の場合に予後が特に悪いため,40U/L未満と

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