診療支援
検査

RAS遺伝子   2,500点(包)
RAS gene
三谷 絹子
(獨協医科大学主任教授・内科学(血液・腫瘍))

基準値 遺伝子変異を認めない


測定法 PCR-rSSO(PCR-reverse sequence specific oligonucleotide)法,BEAMing法


検体量 未染色標本スライド5枚,未染色パラフィン切片 10μm厚5~10枚,組織50mg,血漿8.5mL


日数 4~8日(組織検体),5~7日(血漿検体)


目的 大腸癌の抗EGFR抗体薬の効果の予測


NOTE‍ 保険点数:2,500点(組織検体),7,500点(血漿検体)


Decision Level

●遺伝子変異陽性〔KRASあるいはNRAS遺伝子のexon2(codon12あるいは13),exon3(codon59あるいは61),exon4(codon117あるいは146)の変異が検出される.大腸癌では,KRAS遺伝子のexon2の変異は35~40%,それ以外のRAS遺伝子の変異は10~15%を占める〕

[高頻度・可能性]抗EGFR(epidermal growth factor receptor)抗体の効果が期待できない大腸癌


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 多くの大腸癌ではEGFRが高発現しており,癌細胞内に増殖シグナルを送っている.このような場合,抗EGFR抗体は増殖シグナルを抑制する治療薬として効果を発揮する.しかしながら,細胞質内の増殖シグナルの伝達分子をコードするKRASあるいはNRASに活性化型変異(exon2のcodon12あるいは13,exon3のcodon59あるいは61,exon4のcodon117あるいは146の変異)が誘導されている場合には,抗EGFR抗体では増殖シグナルを抑制することができない.RAS遺伝子検査は,抗EGFR抗体の効果を予測するために重要な検査である.


[関連する検査]

 従来のK-ras遺伝子検査はK-ras遺伝子のexon2(codon12と13)の変異しか検出できず,抗

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?