診療支援
検査

HER2遺伝子  
HER2 gene
三谷 絹子
(獨協医科大学主任教授・内科学(血液・腫瘍))

基準値 遺伝子増幅を認めない


測定法 FISH法


検体量 未染色標本スライド4枚


日数 7~11日


目的 ヒト乳癌および胃癌,大腸癌の組織または細胞中のHER2遺伝子増幅の測定


NOTE‍ 保険点数:2,700点(単独の場合),3,050点(HER2蛋白病理標本作製を併せて行った場合)


Decision Level

●遺伝子増幅あり

[高頻度]乳癌,胃癌,卵巣癌,子宮癌,膀胱癌,非小細胞肺癌,前立腺癌 [対策]遺伝子増幅が確認された症例では,必ず蛋白の過剰発現の有無を検討する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

‍ HER2遺伝子はヒト17番染色体に存在し,そのコピー数の増加はHER2-DNAプローブのシグナル増強として検出される.FISH法ではシグナルを蛍光顕微鏡で観察する必要があるが,DISH法およびCISH法においては光学顕微鏡で観察可能である.HER2遺伝子の増幅とHER2蛋白の過剰発現は80%以上一致する.転移性乳癌,乳癌術後,または治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者を対象として,検査が行われる.HER2遺伝子の増幅があると判定された場合には,ハーセプチン®(トラスツズマブ:抗HER2ヒト化モノクローナル抗体)治療の適応となる.


[関連する検査]

‍ HER2遺伝子増幅検査はHER2/neu蛋白発現検査とほぼ同義である.


判読

 いずれの方法においても,HERシグナルと17番染色体のセントロメアシグナルを計測して,HER2シグナル/17番染色体セントロメアシグナルの比を算出し,HER2遺伝子増幅の有無を判定する.シグナルの比率が2以上の場合には遺伝子増幅ありと判定する.


採取保存

 ホルマリン固定パラフィン包埋組織として保存する.


測定前後の患者指導

 遺伝子増幅が認められた場合には,ハーセプチン®を用いた治療の適応となることを説明しておく.


保険注意

‍ HER2遺伝子標本作製は,抗HER2ヒト化モ

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