基準値 過剰発現を認めない
測定法 酵素抗体法,CLIA
検体量 パラフィンブロック,血清0.5mL
日数 7日,2~4日
目的 トラスツズマブ(ハーセプチン®)適応乳癌または胃癌の診断
NOTE *保険点数:免疫染色690点,血清320点〔悪性腫瘍特異物質治療管理料(同一患者月1回)360点を算定しない場合〕
Decision Level
●過剰発現
[高頻度]乳癌,卵巣癌,子宮癌,胃癌,膀胱癌,非小細胞肺癌,前立腺癌 [対策]過剰発現が確認された症例では,遺伝子増幅の有無を検討するとよい
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
HER2/neu蛋白の過剰発現には,遺伝子増幅によるものと転写の活性化によるものとがある.HER2/neu蛋白の過剰発現は,乳癌の急速な浸潤,低いエストロゲン受容体量と関連し,組織学的には悪性度の高い浸潤性乳管癌が多く,予後不良の徴候である.HER2蛋白の過剰発現とHER2遺伝子の増幅は80%以上一致する.HER2蛋白の過剰発現があると判定された場合にはハーセプチン®(トラスツズマブ:抗HER2ヒト化モノクローナル抗体)治療の適応であり,その奏効率は30%程度である.
[関連する検査]
HER2/neu蛋白発現検査は,HER2遺伝子増幅検査とほぼ同義である.本検査は,HER2/neu遺伝子増幅患者における再発の診断補助および術後再発のモニタリングとして有用である.
判読
①正しい評価のためには,陽性コントロールおよび陰性コントロールが必要である.②過剰発現の判定には,癌細胞の膜における染色性および染色強度を観察する.
採取保存
ホルマリン固定パラフィン包埋組織として保存する.血清は冷蔵保存.
測定前後の患者指導
過剰発現が認められた場合には,ハーセプチン®を用いた治療の適応となることを説明しておく.
保険注意
①HER2/neu蛋白〔免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製〕は,半
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