基準値 1.006~1.030
・通常:1.010~1.025
・水制限時:1.030~1.035
・水負荷時:1.001~1.005
測定法 屈折率法,試験紙法
検体量 通常早朝第一尿あるいは随時尿,新鮮尿約10mL
日数 採尿後2時間以内
目的 腎髄質機能(尿希釈・濃縮力)の評価
Decision Level
●高値(1.025以上)
[高頻度・可能性]脱水(下痢,嘔吐,熱性疾患,水制限など),糖尿病,ネフローゼ症候群,多発性骨髄腫,造影剤,浸透圧利尿薬(マンニトール製剤,グリセリン),低分子デキストラン,ADH分泌過剰症,腎前性急性腎不全,心不全 [対策]1日の尿量,尿浸透圧,尿所見,FENa,UNa,腎機能検査などにより原因を解明し,その治療を行う(図98図)
●低値(早朝第一尿で1.010以下)
[高頻度]水分過剰摂取,慢性腎不全,急性腎不全の利尿期,腎盂腎炎,利尿薬投与時,低K血症(利尿薬,原発性アルドステロン症,Bartter症候群,尿細管性アシドーシスなど),高Ca血症(原発性副甲状腺機能亢進症,サルコイドーシス,悪性腫瘍など),中枢性尿崩症,腎性尿崩症,薬剤性尿細管障害(リチウム,ゲンタマイシン,メチシリン,アムホテリシンB,ビンブラスチンなど) [可能性]心因性多飲症,低蛋白食,低塩食,低栄養,尿路閉塞 [対策]尿量,尿および血漿浸透圧,ADHの測定,腎機能検査,ADH負荷試験,水制限試験などにより原因を解明しその治療を行う(図98図)
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
(図98図)
尿の希釈,濃縮力の評価には溶質の粒子数(解離する場合はイオン強度)に比例する浸透圧のほうが溶質の重量に比例する尿比重よりも正しい指標といえる.浸透圧計がないときには尿比重は簡単にすぐ測定できるので臨床的に有用である.健常者では電解質と尿素の排泄量により比重が決まり,尿比重と尿浸透圧は正の相関を示す(