診療支援
検査

尿沈渣  
★★★
urinary sediments
藤乘 嗣泰
(獨協医科大学病院教授・血液浄化センター長)
鈴木 清江
(獨協医科大学病院臨床検査センター)
木村 健二郎
(JCHO東京高輪病院名誉院長)

基準値

●顕微鏡強拡大(high power field;HPF×400)の観察下で

●非上皮細胞類

・赤血球 1~4個/HPF以下

・白血球 1~4個/HPF以下

・大食細胞(マクロファージ) 正常ではみられない

●上皮細胞類 扁平上皮は正常でもみられる.尿細管上皮細胞や尿路上皮細胞(移行上皮細胞),円柱上皮細胞は1個/HPF未満.封入体細胞,卵円形脂肪体は正常ではみられない

●異型細胞類 正常ではみられない

●円柱類 0~1個/全視野以下.硝子円柱は健常者でもみられることがある

●微生物類・寄生虫類 細菌は少量認められることがある.尿放置で増加

●塩類・結晶類 尿酸塩,リン酸塩,通常結晶類は健常者でもみられることがある.異常結晶類は正常ではみられない


測定法

・攪拌した新鮮尿約10mLを懸垂型遠心器にて500G〔回転数はrpm(回転/分)=1,000×{(500)/(11.18×半径cm)}1/2.多くは1,500~2,000rpm〕で5分間遠心する.上清をアスピレーション/デカンテーションで除去し,沈殿物0.2mLを正確に残す.ピペットで混和したのち沈渣15μLをスライドガラスに滴下し,カバーガラス(18mm×18mm)を沈渣が均等になるように被せ,顕微鏡の弱拡大(100倍),次いで強拡大(400倍)で無染色にて観察する.Sternheimer染色液1滴を尿沈渣0.2mLに加えると細胞の核や細胞質が染まり判定しやすくなる.20~30視野,最低でも10視野を観察し平均値をとる(鏡検法)

・フローサイトメトリー法などの自動分析装置は尿を遠心せず,省力・迅速な処理ができる.鏡検フラグに該当した検体のみ鏡検法で再検する

・血球・上皮細胞などは強拡大視野での鏡検結果を記載する.世界的に定量的表示(個数/μL)を用いる傾向にある(視野数20の接眼レンズと対物レンズ40倍のHPFの1視野当たりの原尿換算値は0

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