診療支援
検査

尿量
urine volume
木村 健二郎
(JCHO東京高輪病院名誉院長)

基準値 800~1,600mL/日


目的 ①尿量異常の評価,②(他の検査と組み合わせて)腎機能評価,③1日尿蛋白質量の評価,④摂取食塩量・蛋白質量の推測〔「尿クレアチニン」の項参照


Decision Level

●50~100mL/日以下(高度減少,無尿)

[高頻度]尿路閉塞(前立腺肥大,前立腺癌など) [可能性]重篤な腎実質性障害(腎皮質壊死,両側性腎動脈閉塞など) [対策]原疾患の診断と治療,超音波による水腎症,膀胱内尿貯留の有無,水電解質管理

●400mL/日以下(高度減少,乏尿)

[高頻度]①腎前性乏尿(脱水,出血,嘔吐,下痢,膵炎,熱傷,エンドトキシンショック,ネフローゼ症候群,非代償性肝疾患,肝腎症候群など).②腎性乏尿(急性尿細管壊死,急性間質性腎炎,急性糸球体腎炎,ループス腎炎,溶血性尿毒症症候群,血栓性血小板減少性紫斑病,播種性血管内凝固症候群など) [可能性]腎後性乏尿(尿路閉塞)(前立腺肥大,前立腺癌,神経因性膀胱,外傷,結石など) [対策]腎後性乏尿は超音波,CTなど画像および泌尿器科的な手技で鑑別診断を行い,原疾患に対する治療を行う.腎前性乏尿と腎後性乏尿の鑑別を行うことが重要,治療方針が全く異なる.腎前性乏尿なら早急に輸液を行い循環血漿量を確保する.尿一般,尿沈渣所見,尿中Na濃度,FENa(「関連する検査」参照)などから2者を鑑別.腎性が強く疑われる場合には腎生検が適応となることもある.

●400~800mL/日(軽度減少)

[高頻度]脱水,出血,嘔吐,下痢など循環血漿量の減少する状態 [可能性]腎前性乏尿などの前兆,腎性乏尿,腎後性乏尿 [対策]生理的な範囲の尿量減少か,非生理的な乏尿の前兆であるか鑑別

●2,500~3,000mL/日以上(増加)

[高頻度]等張性利尿(浸透圧利尿.糖尿病,マンニトール点滴,慢性腎不全,急性腎不全利尿期,尿路閉塞解除後),低

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