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検査

尿中α1-ミクログロブリン〔尿中α1-m,尿中AMG〕《尿中α1-マイクログロブリン》   132点
urinary α1-microglobulin
木村 健二郎
(JCHO東京高輪病院名誉院長)

基準値 0.9~2.7mg/L(EIA)


測定法 RIA,EIA,LCR


検体量 蓄尿1mL


日数 2~4日


目的 尿細管障害の評価(注:糸球体障害でも二次的に尿細管は障害される)


Decision Level

●0.5mg/L以下(減少)

[高頻度]肝疾患による産生低下 [対策]原疾患の診断と治療

●3mg/L以上(増加)

[高頻度]間質性腎炎,慢性糸球体腎炎 [可能性]重金属(カドミウム,水銀)または薬剤(アミノグリコシド系など)による尿細管障害 [対策]腎障害の原因となるような薬剤,重金属への曝露の既往,腎機能の評価,腎生検など


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 α1-ミクログロブリンは分子量約30,000,糖含量20%の糖蛋白で肝臓で産生される.

 糸球体基底膜を自由に通過してほとんどは近位尿細管で再吸収・異化されるが,尿細管障害のときには再吸収が低下し尿中への排泄が増加する.


[見逃してはならない異常値]

 10mg/L(またはmg/日,mg/gCr)以上では高度の腎障害が疑われる.直ちに原因検索を行い,対処すべきである.


[関連する検査]

 β2-ミクログロブリンも同様な機序で尿中排泄が増加するが,酸性尿できわめて速やかに変性する.しかし,α1-ミクログロブリンは安定しているため,尿マーカーとしては優れている.現在ではβ2-ミクログロブリンに代わって標準的に使用するよう推奨されている.


判読

①尿中アルブミンの排泄が正常か軽度増加で,α1-ミクログロブリンの排泄が増加していれば尿細管障害を疑う.②糸球体疾患でも二次性に尿細管が障害されα1-ミクログロブリンの排泄は増加する.③尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)活性と組み合わせると,より正確な病態把握ができる.高度な慢性腎不全では尿中NAG活性は低下する(産生細胞の減少)が,尿中α1-ミクログロブリン排泄は増加している.急性の

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