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尿中β2-ミクログロブリン〔尿中β2-m,尿中BMG〕《尿中β2-マイクログロブリン》   101点
urinary β2-microglobulin
木村 健二郎
(JCHO東京高輪病院名誉院長)

基準値

・蓄尿:30~370μg/日

・随時尿:16~518μg/L,4~180μg/gCr(クレアチニン1g当たりに補正した値)


測定法 ラテックス凝集比濁法


検体量 蓄尿または部分尿1mL


日数 2~4日


目的 尿細管障害の評価(注:糸球体障害でも二次的に尿細管は障害される)


Decision Level

●30μg/日以下(減少)

 このような病態はない

●1,000~5,000μg/日(増加)

[高頻度]間質性腎炎,慢性糸球体腎炎 [可能性]痛風腎,自己免疫疾患,悪性腫瘍 [対策]原疾患の診断と治療,できれば腎生検

●5,000μg/日以上(高度増加)

[高頻度]進行した慢性腎不全,糖尿病性腎症,急性尿細管壊死,アミノグリコシド系抗菌薬による尿細管障害 [可能性]カドミウム中毒,水銀中毒,シスプラチン腎症,自己免疫疾患 [対策]原疾患の診断と治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 β2-ミクログロブリンは分子量11,800,アミノ酸99個からなるポリペプチドで主要組織適合性抗原であるHLAクラスⅠ抗原のL鎖として全身の有核細胞の細胞表面に分布する.

 異常値のでるメカニズムは「α1-ミクログロブリン」の項と同様である.

 自己免疫疾患,悪性腫瘍,ウイルス疾患ではβ2-ミクログロブリンの産生が増加する場合がある.このような病態では血中β2-ミクログロブリン濃度が上昇し,糸球体基底膜を通過するβ2-ミクログロブリンが増加し,最終的に尿中への排泄も増加する(オーバーフロー).

 酸性尿中ではきわめて不安定であるため,現在では測定する臨床的意義は少ないと考えられている.代わりに安定しているα1-ミクログロブリンの測定が推奨されている.


[見逃してはならない異常値]

 2,000μg/L(またはμg/日,μg/gCr)以上では高度の腎障害が疑われる.直ちに原因検索を行い,対処すべきである.


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 尿

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