基準値
・濃度:30.5ng/mL以下
・クレアチニン補正値:21.7μg/gCr以下
測定法 CLIA(化学発光免疫測定法)
検体量 部分尿0.4~2mL
日数 2~4日
目的 急性腎障害(acute kidney injury;AKI)の診断補助
Decision Level
●50~70ng/mL以上(増加)
[高頻度]AKI,敗血症,多臓器不全 [可能性]慢性腎臓病(CKD), 尿路感染症 [対策]血清Cr値,尿量,その他の臨床所見から病態を診断し,治療を行う(RIFLE基準によるAKIのステージ Risk, Injury, Failure群の中央値はそれぞれ58.2ng/mL,105.4ng/mL,503.0ng/mLである)
●NGALが低下する病態はない
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
NGALは,2002年に未分化腎前駆細胞をネフロンへ分化誘導させる蛋白として分離同定された.好中球のゼラチナーゼに結合している25kDaの蛋白(178個のアミノ酸)である.多くが単量体であるが2量体やマトリックスメタロプロテイナーゼ-9などとの複合体としても存在する.NGALはシデロフォア(鉄結合性小化合物)を介して鉄と結合し,腎臓分化促進作用,障害時の腎保護作用や癌の血管新生阻害作用を示す.また,NGAL/NGAL-シデロフォア複合体は鉄キレート体として大腸菌や結核菌の細胞増殖を抑制する.
NGALは虚血性あるいは薬剤性の急性尿細管壊死の腎生検組織において,近位尿細管管腔側および遠位尿細管中に多量に存在することが確認されている.近位尿細管の管腔側に集積するNGALは,血液由来NGALが糸球体濾過後に尿細管上皮細胞に(スカベンジャー受容体メガリンを介して)取り込まれたものと考えられている.さらに,マウスのAKIモデルでヘンレの上行脚および集合管上皮細胞にNGALが誘導発現されることが示されている
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中α1-ミクログロブリン〔尿中α1-m,尿中AMG〕《尿中α1-マイクログロブリン》 [保] 132点
- 臨床検査データブック 2023-2024/PSP試験(フェノールスルホンフタレイン試験) [保] 150点
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中β2-ミクログロブリン〔尿中β2-m,尿中BMG〕《尿中β2-マイクログロブリン》 [保] 101点
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ〔NAG〕 [保] 41点
- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中L型脂肪酸結合蛋白〔L-FABP〕 [保] 210点
- 新臨床内科学 第10版/5 尿生化学
- 新臨床内科学 第10版/1 M蛋白血症
- 今日の小児治療指針 第17版/膜性増殖性糸球体腎炎
- 今日の小児治療指針 第17版/Dent病