基準値 0.73以下
IgGインデックス
=(髄液IgG×血清アルブミン)/(血清IgG×髄液アルブミン)
測定法 ネフェロメトリー法にてIgG,TIA法にてアルブミン
検体量 血清と髄液各々0.7mL
日数 2~3日
目的 多発性硬化症の診断指標
Decision Level
●基準値以上(>0.73または>0.7)
[高頻度]多発性硬化症,亜急性硬化性全脳炎,神経梅毒 [可能性]脳炎,髄膜炎,脊髄炎,脳腫瘍,脊髄腫瘍,多発性神経炎など [対策]髄液と血清を同時に採取することが重要である.さらに,量的指標であるIgGインデックスだけでなく,質的指標である髄液オリゴクローナルバンドも併せて測定することが望ましい
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
多発性硬化症では,脱髄病巣の炎症を反映して髄液腔で産生されたIgG量が著しく増加する.中枢神経系でのリンパ球の局所的産生によると考えられる.一方,多発性硬化症に類似した疾患である視神経脊髄炎(NMOSD)では,通常上昇しない.IgG増加は多発性硬化症以外にも感染症,腫瘍,自己免疫疾患など,抗体産生異常をきたす疾患でみられる.中枢神経系感染症の代表疾患であるウイルス性髄膜炎では,血液脳関門の破綻による血清蛋白の移行がIgG増加の主体である.その場合,同時にアルブミン増加もみられるためIgGインデックスはあまり上昇しない.このように髄液中IgGの評価は血清からの移行を考慮する必要があるため,IgGインデックスを用いる.
[関連する検査]
多発性硬化症の診断目的に保険算定できる検査は,本検査以外に髄液オリゴクローナルバンドと髄液ミエリン塩基性蛋白がある.適確な診断のために,これらの検査をなるべく組み合わせて施行する.
判読
治療開始前の測定が望ましい.
採取保存
冷蔵保存.
測定前後の患者指導
髄液と血液を同時に採取することが重要である.
保険注意
多発性