診療支援
検査

過敏性肺(臓)炎(HP)
野田 裕道
(NTT東日本伊豆病院・呼吸器科部長)

病態

 外因性抗原(真菌・細菌・トリの異種蛋白や化学物質)を反復吸入した結果,アレルギー性に発症するびまん性肉芽腫性間質性肺炎


[参考]

 過敏性肺炎診療指針2022


異常値

・胸部X線 びまん性散布性粒状陰影

・胸部CT(HRCT) びまん性の肺野濃度の上昇と小葉中心性の粒状陰影

・肺機能検査,血液ガス 拘束性換気障害,拡散能低下,低酸素血症

・気管支肺胞洗浄(BAL) 細胞分画でのリンパ球(Tリンパ球)比率増加

・経気管支肺生検(TBLB) 肉芽腫性胞隔炎,マッソン体

・血清診断 原因抗原に対する特異的IgG抗体の証明.夏型であればトリコスポロン・アサヒ.鳥関連であれば鳥抗原(ハト,セキセイインコ).

・環境誘発試験 環境曝露によって症状誘発,炎症反応再燃


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●胸部X線‍ [急性期]陰影の急速な増加,ないし抗原曝露回避による陰影の急速な減少をみることがあるので,初診から3日後に1度撮影する [回復期]陰影が消失しても,治療効果判定目的で,1カ月ごとに撮影.夏型では,翌年の同時期に再検査

●動脈血ガス‍ [急性期]重症度判定と病状判定の目的で,初診時に測定する [回復期]抗原曝露の回避・治療の効果判定目的に,発症後1カ月をめどに測定する

●胸部CT‍ [急性期]病変の広がりを把握するため,急性期にはなるべく早い時期に撮影 [回復期]胸部X線で再燃が疑われたときに施行する

●白血球,CRP‍ [急性期]活動性把握のため1~2週ごとに検査する [回復期]不要


診断・経過観察上のポイント

①胸部X線写真では異常陰影を指摘できず,CT(HRCT)で初めて所見が得られる例がある.胸部X線写真に所見がなくても労作時息切れを訴える症例では,本症を疑う.②白血球,CRPは増加する.またKL-6高値も参考となる.③夏型では翌年再発例があるので,2~3年は経過観察が必要.④わが国ではトリコ

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