診療支援
検査

気管支喘息
野田 裕道
(NTT東日本伊豆病院・呼吸器科部長)

病態

 好酸球を主体とした気道の慢性炎症を本態とし,変動性をもった気道狭窄による喘鳴,呼吸困難,咳などの臨床症状で特徴づけられる疾患.気道過敏性亢進を認める.


[参考]

 喘息予防・管理ガイドライン2021


異常値

●スパイロメトリー

1秒率 増悪時には70%未満に低下(成人).

1秒量 β2刺激薬吸入で12%以上かつ200mL以上改善

●ピークフロー値 20%以上の日内変動あり

●血液ガス A-aDO2の開大,重積発作ではPaCO245Torr以上

●気道過敏性試験 閾値の低下

●末梢血好酸球 220~320/μL以上

●血清IgE 250IU/mL以上

●呼気中一酸化窒素(FeNO)の上昇 35ppb以上

●胸部X線 心不全,肺気腫,肺炎,肺癌などの他の心肺疾患の鑑別と合併の除外


経過観察のための検査項目とその測定頻度

(表214,表215)

●ピークフロー(PEF)モニタリング 治療の有効性や悪化の徴候をとらえる.最近では新規喘息診断患者において薬効,増悪因子,自己管理の基本値の評価として3カ月程度の短期間のPEFモニタリングが行われる.長期的モニタリングは重症喘息や気流制限を自覚しない患者などに限って推奨される.

●スパイログラム‍ [急性増悪時]呼吸困難のため施行できないこともある [慢性期]自己測定のピークフロー値との対比を行い,気道閉塞状態を評価する目的で,6カ月~1年ごとに測定をする

●胸部X線‍ [急性増悪時]肺炎・気胸・心不全などの合併症を否定するため撮影する [慢性期]治療反応性に乏しいとき以外,不要


診断・経過観察上のポイント

①診断には問診(発作性呼吸困難,喘鳴,夜間や早朝に出現しやすい,咳の反復など),身体所見(呼気性喘鳴),他,β2刺激薬吸入での1秒量の改善,ピークフロー値の日内変動の確認が重要.②呼気中一酸化窒素(FeNO)は,簡便で,非侵襲的で,リアルタイムに好酸球性炎症の

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