病態
肺癌は最も重要な悪性腫瘍であり,腺癌,扁平上皮癌などの非小細胞癌(NSCLC)と小細胞癌(SCLC)に分類するのが一般的である.TNM分類は最新のエビデンスに基づき,2009年に大幅な改訂が行われた.大きな変更点はT因子の細分化,腫瘍結節の扱い方,遠隔転移の明確化である.これにより病期分類も改訂された.肺癌の組織型,このTNM分類と病期分類に基づき,患者の全身状態を考慮のうえ,手術療法,化学療法,放射線療法など治療方針を決定する.なお,2021年版の改訂が行われ,細分化された
[参考]
肺癌診療ガイドライン―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2021年版
異常値
・胸部X線 病変の占拠部位と広がり,肺門・縦隔リンパ節の腫大,胸水,肺内転移の有無などを確認.背景となる肺疾患の有無も重要
・胸部CT 造影CTにより原発巣,肺門・縦隔リンパ節転移の確認.確定診断するための気管支鏡下肺生検(TBLB)のアプローチを決定するうえで必須
・呼吸機能検査 背景となる肺疾患の有無を検討,外科的治療を考慮してVC,%VC,FEV1,FEV1%,動脈血ガスを測定
・血算・血液像 末梢血白赤芽球症(leukoerythroblastosis)の存在は骨髄浸潤を示唆するため,骨髄穿刺が必要.まれにG-CSF産生腫瘍による好中球増加
・肝機能検査 肝転移により胆道系優位の酵素異常
・腎機能検査 全身的化学療法の適応を考慮するうえで重要
・喀痰細胞診 肺癌を疑う症例ではルーチンに施行
・喀痰細菌学的検査 肺炎,肺結核,肺非結核性抗酸菌症,肺真菌症などを除外
・気管支鏡 画像所見に異常を認めない場合でも,血痰の症例では気管支鏡の適応.診断には必須の検査手技であり,病変と気管,気管分岐部,主気管支の関係はT因子の判定指標
・腫瘍生検 腫瘍の占拠部位に応じて経気管支生検または経胸壁針生検などを施行.肺癌の診断には病理学的診断が必