病態
心房に多数の微小な(マイクロ)リエントリーまたは群発性興奮部位が生じることにより心房全体の規則正しい興奮が失われた状態
[参考]
①2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン.p37-41,②2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン.p33-75,③不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).p77-94
異常値
・心電図 ①不規則な基線の動揺として認められるf波(300~700/分)の存在,②P波が認められない,③R-R間隔がすべて不整(絶対性不整脈),の3点によって診断される.ただし完全房室ブロック合併例ではR-R間隔は一定で徐脈である
経過観察のための検査項目とその測定頻度
●心電図 診察時に無症状であっても労作時や安静時の動悸症状,脈拍の不整所見で疑われる場合には心電図を記録して確認する.また,低心機能合併の有無を確認する.発作性AFの診断には1回の心電図検査では診断不能な例もあり,長時間心電図記録やイベント型心電図記録計が有用である
診断・経過観察上のポイント
①経過観察において発作性,持続性か慢性かの確認が必要.②基礎疾患の有無(先天性,リウマチ性,高血圧性心疾患,心筋梗塞,心不全をきたす心筋疾患,甲状腺機能亢進症,閉塞性肺疾患など)を確認する.③一過性心房細動でもUCGによる左房径が大きいもの(>50mm)は再発,慢性化の傾向がある.④ジギタリス投与例における心室期外収縮と心室内変行伝導の鑑別はそれぞれジギタリス中毒と投与量不足の判定上重要である.⑤WPW症候群に合併する心房細動は偽性心室頻拍を呈し,心室細動,突然死への移行のリスクがあるので注意を要する.〔「WPW症候群,早期興奮症候群」の項参照→〕.⑥UCG,TEE(経食道エコー)による心房内の血栓の検索も重要であり,3~6カ月ごとのチェックが望ましい.⑦CHADS2スコア1以上であれ