診療支援
検査

副甲状腺機能低下症
加治 秀介
(兵庫県立大学名誉教授)

病態

 副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌低下かPTHに対する不応症で,主に低Ca血症による症状が問題となる


[参考]

 副甲状腺機能低下症(指定難病235)診断・治療指針 2019


異常値

・血中Ca 低値(補正値で8.5mg/dL未満)

・血中P 基準高値~高値(成人3.5mg/dL以上,小児4.5mg/dL以上,乳児では5.5mg/dL以上)

・intact PTH 特発性:30pg/mL未満.偽性:30pg/mL以上


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●血中Ca‍ [治療後回復期]治療効果判定のため2週ごと [治療後安定期]定期的観察のため1~2カ月ごと

●血中P‍ [治療後回復期]治療効果判定のため2週ごと [治療後安定期]定期的観察のため1~2カ月ごと

●intact PTH‍ [治療後回復期]治療効果判定のため2週ごと [治療後安定期]定期的観察のため1~2カ月ごと


診断・経過観察上のポイント

①副甲状腺機能低下症は副甲状腺でのPTHの分泌が低下する特発性,2次性(術後性,放射線照射,悪性腫瘍の浸潤など),先天性の副甲状腺機能低下症(常染色体顕性低Ca血症,副甲状腺の先天性形成不全)すなわちPTH不足性副甲状腺機能低下症とPTHに対するホルモン不応症(偽性副甲状腺機能低下症)とに大別される.②特発性副甲状腺機能低下症の原因は不明であるが,自己免疫機序の関与が考えられている.低Ca,高P血症に加え,intact PTHは低値.③偽性副甲状腺機能低下症ではオールブライト遺伝性骨形成異常症(Albright hereditary osteodystrophy;AHO)と呼ばれる特徴的な身体所見を有し,intact PTHは高値で外因性PTHに対する腎でのcAMP増加とリン酸排泄の反応の差によってⅠ型とⅡ型に分類される(Ellsworth-Howard試験)〔「Ellsworth-How

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