診療支援
検査

慢性糸球体腎炎(症候群)(CGN)
堀田 晶子
(東京大学大学院医学系研究科・医学部臨床実習・教育支援室(腎臓・内分泌内科))

病態

 急性あるいは緩徐に発症し,数年以上にわたって緩慢に経過する糸球体腎炎の総称.原発性(一次性)糸球体腎炎に由来するものと続発性(二次性)のものとがある.わが国ではIgA腎症に由来するものが最も多い.末期腎不全に至ることもしばしばある.原疾患により病態,経過,治療方針は異なるため,原疾患の同定が重要である.IgA腎症については別項を参照されたい


異常値

・尿検査 種々の程度の蛋白尿,血尿を呈する.変形赤血球や赤血球円柱は糸球体病変を反映する

・尿生化学 高度蛋白尿(1g/日以上または1g/gCr以上)を呈する例は腎不全に至りやすいとされる

・尿中NAG,β2-ミクログロブリン 尿細管障害の指標となる

・血清BUN,Cr,UA,eGFR 腎機能を反映する.腎機能低下の判断が困難な場合は,より鋭敏な腎機能の指標であるシスタチンC(Cys-C)を測定するとよい

・血清TP,Alb 高度蛋白尿を呈する例では低下がみられることがある

・血算 腎不全が進行すると(eGFR<30),腎性貧血(Hb<11g/dL)を呈するが,他疾患による貧血との鑑別を要する.一般に腎性貧血は正球性正色素性である

・血清電解質 腎不全の進行に伴い,(補正)Ca低下,P上昇,K上昇を呈する

・血清IgA,補体価,抗核抗体など 原疾患に由来する


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●尿定性・沈渣 1カ月~半年ごとに1回

●尿蛋白定量 1カ月~半年ごとに1回

●血清BUN,Cr,UA,eGFR 1カ月~半年ごとに1回 [腎不全期]状況により月1~2回

●血清TP,Alb 高度蛋白尿を呈する例では,他の指標と同時に測定する

●IgA,補体価,抗核抗体など 原疾患による.診断時に測定すればよいが,病勢・病態の変化を疑ったときにも測定することが望ましい


診断・経過観察上のポイント

①尿所見の異常がある場合,良性蛋白尿(起立性蛋白尿など)や下部尿

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?