病態
・好気性グラム陰性桿菌で細胞内寄生性.85%はLegionella pneumophila serogroup1であり,次にL. longbeachaeが多い.
・この菌で汚染された温泉,噴水,浴槽,貯水タンク,シャワーなどの水滴を吸入して感染する.
・L.longbeachaeは汚染された庭の土などを手で扱った後などに起こりうる.
・日本では温泉や海外旅行で古いホテル宿泊後などに感染する例が多い.
・入浴施設での集団発生あり.
・2021年に国内で2,112例報告.
・潜伏期は2~10日(中央値4~6日)
・症状は,発熱,倦怠感,悪心,嘔吐,下痢,頭痛,意識変容などの肺外症状がしばしばある.咳,痰,呼吸困難もみられる.
・レジオネラ肺炎は市中肺炎の1~10%を占める.院内肺炎も起こす.
・高齢者,細胞性免疫不全者,悪性腫瘍,糖尿病患者,移植患者などはリスクが高い.
・47%は中等症から重症になり,18~44%はICUで治療を要する.死亡率は1~10%.
[参考]
成人肺炎診療ガイドライン2017
異常値
・低Na血症
・CPK 上昇
・腎機能障害,肝障害など
経過観察のための検査項目とその測定頻度
・胸部X線
・胸部CT
・血液ガス
・白血球数,CRP,血液生化学検査 週2~3回
診断・経過観察上のポイント
①診断は,1)レジオネラ尿中抗原検査:Legionella pneumophila serotype1のみ陽性となりうる(感度70~80%,特異度ほぼ100%).2)遺伝子検査:痰,気管支肺胞洗浄液のPCR検査またはLAMP法検査を行う.3)痰や気管支肺胞洗浄液の培養検査:BCYE培地を用いる.4)グラム染色:染色困難で,ヒメネス染色を用いる.②治療はニューキノロン系(レボフロキサシンなど)またはマクロライド系(アジスロマイシン)を投与する.治療期間は免疫不全者,重症では14~21日間.③自覚症状,身体所見
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