診療支援
検査

アメーバ症(赤痢アメーバ症)
髙橋 優三
(岐阜大学名誉教授)

病態

 アメーバと名前がつく真核の単細胞生物(原虫)は地球上に無数の種類がある.そのなかでもヒトに寄生するアメーバはごく少数で,さらに腸管に寄生して赤痢症状を起こさせるのは,赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)だけである.この赤痢アメーバは2分裂で増えるが,シスト(嚢子)と栄養型の2つの時期がある.シストは過酷な外的環境にも強く,経口感染時に胃液に曝されても死滅せず感染能をもつ.栄養型の時期には胃液で消化されるので,経口感染能はない.赤痢アメーバが大腸の管腔内に寄生しても不顕性感染が多い.栄養型のアメーバが腸管上皮に組織分解酵素を分泌し潰瘍を作ったときに腸アメーバ症としての症状がでる.このアメーバ感染が肝臓や肺,脳へ血行性に転移し膿瘍を形成することもある(腸管外アメーバ症).肝膿瘍は時折みられるが,肺や脳の膿瘍はまれである.この赤痢アメーバ症は,日本では男性同性愛者や各

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