診療支援
検査

混合性結合組織病(MCTD)
佐藤 浩二郎
(自治医科大学教授・アレルギー膠原病学)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 自己免疫機序による全身性慢性炎症性疾患である.全身性エリテマトーデス(SLE),全身性硬化症(SSc),多発性筋炎のうち少なくとも2つの要素が混在し,さらに抗U1-RNP抗体陽性を特徴とする.皮膚,関節,筋肉,肺などが病変の主座となる.レイノー(Raynaud)現象はほぼ必発であり,手指のソーセージ様腫脹も特徴的な所見である.また,肺動脈性肺高血圧症を合併すると,予後が不良となりうるため早期発見,治療が重要である.


[参考]

 MCTD(混合性結合組織病)診療ガイドライン2021


異常値

・赤沈 亢進

・CRP 上昇することが多い

・白血球 減少することが多い

・赤血球,ヘモグロビン 減少することあり

・抗核抗体 陽性

・抗RNP抗体 陽性

・補体価 低下することあり


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●赤沈 活動性判定,重症度判定,治療効果判定のために測定する [急性期]1~2週ごと [慢性期]1~6カ月ごと

●CRP 活動性判定,重症度判定,治療効果判定のために測定する [急性期]1週ごと [慢性期]1~6カ月ごと

●抗核抗体 診断上,必要であるが,活動性には相関しない [急性期]1回 [慢性期]不要

●補体価 活動性判定,治療効果判定のために測定する [急性期]1週ごと [慢性期]2~6カ月ごと

●白血球 活動性判定,重症度判定,治療効果判定や副作用モニターとして測定する [急性期]1~2週ごと [慢性期]1~6カ月ごと


診断・経過観察上のポイント

①肺動脈性肺高血圧合併例は予後不良であることが知られている.胸部X線,聴診,心電図,心臓超音波検査(UCG)などを定期的に行う.労作時息切れが初発症状となることもあり注意する.②SLEに比し腎機能障害をきたすことは少ない.③経過観察中に高熱を呈することがあり,原病の増悪,ウイルス感染症(EBVなど),細菌感染症の鑑別に苦慮することがある.血清学的

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