診療支援
検査

多発性筋炎,皮膚筋炎(PM/DM)
横田 和浩
(埼玉医科大学准教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 骨格筋を障害する原因不明の特発性炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathy;IIM)の一病型に分類される.筋以外にも多彩な全身の臓器症状を合併することが多く,また高頻度に自己免疫現象を伴う自己免疫疾患である.症状が筋肉および内臓にとどまるものを多発性筋炎(polymyositis;PM),PMに加えて特有の皮膚症状を伴うものを皮膚筋炎(dermatomyositis;DM)と呼ぶ


[参考]

 多発性筋炎・皮膚筋炎 診療ガイドライン 2020 暫定版


異常値

・筋原性酵素(CK,LD,AST,アルドラーゼ) 上昇

・炎症反応(CRP,赤沈) 軽度陽性,亢進

・自己抗体 抗核抗体が50~80%程度で陽性,抗Jo-1抗体などの各種アミノアシルtRNA合成酵素を認識する自己抗体(抗ARS抗体)が20%程度で陽性となる.2014年より保険診療で測定可能な抗ARS抗体は,抗Jo-1抗体,抗PL-7抗体,抗PL-12抗体,抗EJ抗体,抗KS抗体の5種類であり,5つの抗体のいずれかが存在しているときに陽性となる.また,2016年より保険診療で抗melanoma differentiation-associated gene 5(MDA5)抗体,抗transcriptional intermediary factor 1-γ(TIF1-γ)抗体,抗Mi-2抗体が測定可能となり,先の抗ARS抗体と合わせると,DM患者では約7割でいずれかの抗体が陽性になる(本邦では抗ARS抗体,抗MDA5抗体,抗TIF1-γ抗体がそれぞれ約20%陽性,抗Mi-2抗体が10%陽性である)

・筋電図 低時間,低振幅,多相性の筋原性変化

・MRI T1強調画像で正常信号,STIR法で高信号(筋組織の浮腫を検出)

・筋生検 炎症細胞の浸潤,筋線維の変性ないし壊死像・再生像


経過観察のための検査項目

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