診療支援
検査

薬疹
秋山 雄次
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 薬剤や,その代謝産物によって起こる皮膚・粘膜疹.病型としてはじん麻疹型,紅斑丘疹型,多形(滲出性)紅斑型,湿疹型,紅皮症型,紫斑型,固定薬疹,光線過敏症型,皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群;SJS)型,中毒性表皮壊死症型(TEN),薬剤性過敏性症候群(DIHS),急性汎発性発疹性膿疱症型などに分類される.機序としてはアレルギー性と非アレルギー性に大別される.アレルギー性はCoombsのⅠ~Ⅳ型が関与する.じん麻疹型などのⅠ型アレルギーの場合は薬剤投与数分~数時間後に出現しⅣ型アレルギーの場合は投与半日以降に出現する.重症薬疹としてSJS,TEN,DIHSがあがる.SJSとTENは表皮びらんの範囲で分類される.TENは最重症型の発疹で死亡率が20~30%に及ぶ.DIHSは薬疹が出現した後,既感染のヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)やサイトメガロウイルスが再活性化して皮疹が再燃する.薬剤開始 2~6 週後に,発熱,紅斑,リンパ節腫脹,肝機能障害,白血球・ 好酸球増加,異型リンパ球が認められる.薬剤中止後も数週間症状が続くことが多い. 非アレルギー性は使用薬剤の薬理作用が副作用として認識される場合や蓄積作用,過剰投与,薬剤相互作用によるものがある


異常値

・白血球 上昇する場合と減少する場合がある.好酸球増加や異型リンパ球(DIHS)を認めることがある

・AST,ALT 上昇することあり

・CRP 上昇することあり

・血清IgE 上昇することあり

・TARC DIHSの急性期で著増する.SJSやTENでは軽度の上昇にとどまる.(注:TARCの適用疾患はアトピー性皮膚炎である)

・プリックテスト 原因薬剤で陽性.感度は低いが安全性は高い

・皮内テスト 原因薬剤で陽性.プリックテストより感度が高いがまれにショックを呈する

・パッチテスト 原因薬剤で陽性.感度は低い

・リン

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