診療支援
検査

子宮内膜症
岩佐 武
(徳島大学大学院教授・産科婦人科学分野)

病態

 子宮内膜様組織が骨盤腹膜や卵巣などの子宮腔以外の場所に発生し,月経周期に基づく内分泌変動により局所に出血し,癒着を起こす.子宮筋層に発生した場合,子宮腺筋症と呼ぶ.卵巣に発生すると出血が貯留し,チョコレート嚢胞を形成する


[参考]

 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020


異常値

・CA125 40.0U/mL以上に上昇(その値は子宮内膜症の程度とほぼ比例する)


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●CA125‍ [急性期]2~3カ月ごと [回復期]6カ月ごと

●エストラジオール‍ [急性期]1回 [回復期]性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストの卵巣機能抑制効果を知るために2カ月ごと

●腹腔鏡‍ [治療前の急性期]診断および重症度判定のために1回 [GnRHアゴニスト4~6カ月治療後の回復期]できれば治療効果判定のために1回

●超音波‍ [治療前の急性期]1回.卵巣のチョコレート嚢胞があれば2カ月ごとにサイズを測る

●MRI‍ [治療前の急性期]卵巣のチョコレート嚢胞があれば他の卵巣腫瘍との鑑別のために1回


診断・経過観察上のポイント

①子宮内膜症の確定診断は腹腔鏡による.②GnRHアゴニストを投与している際は血中エストラジオールを測定して卵巣機能の抑制の程度を確かめる.血中エストラジオールのレベルを30~50pg/mL(therapeutic window)に保つと,子宮内膜症に対して効果的でかつエストロゲン欠乏による副作用を少なくすることができる.③卵巣のチョコレート嚢胞の大きさの変化は超音波検査で判定する.卵巣癌の併発や他の原因による卵巣腫瘍との鑑別診断のために腫瘍マーカー(CA125,CA72-4,SLXなど)の測定やMRIを用いて画像診断するとよい.悪性化による卵巣癌が疑われる場合は手術的に摘出する.④軽症の子宮内膜症で月経困難症を主訴とする場合は,低用量

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