診療支援
治療

ER受診患者の診かた
How to examine a patint at ER
堀 進悟
(慶應義塾大学教授・救急医学)

 本書の読者であるあなた方は,市中病院で当直時間帯に専門外の救急患者を診る内科医,外科医,後期研修医等と想定されている.そして多くの場合,あなた方は勉強中の医師であり,未だ経験が豊富な医師ではない.そこで,あなた方の行うER診療のニーズに応えるため,本書の改訂に当たり「症状・徴候からのアプローチ」を新たに加えた.しかしこれとて所詮は各論なので限界がある.本項は各論を補完するため,非常勤の当直医がER診療を行ううえでの全般的な注意点について述べることを目的としている.したがって筆者の希望は,「あなた方が当直業務を始める前に本項を読んでほしい」ということに尽きる.以下に,当直先の病院に着いてから始めてほしい事項を順番に書いた.


A.受診時の連絡方法を知る

●ER受診患者は救急搬入とwalk-in(自力受診)とに分かれる.救急隊あるいは患者(家族)からの連絡を誰が受け,ERの医師に連絡されるかを聞いておく.

●またその病院で対応不可能な病態(検査,緊急手術など)があるか否かも聞いておく.


B.ERの機能を知る

1備品

 電気的除細動器,気管挿管(小児用を含む),輪状甲状間膜切開,多チャンネルモニター,12誘導心電図,体温測定(低体温用を含む),加温点滴,整形外科用のシーネ,縫合セット,ベンチレーター,内視鏡,バックボードなど,使用頻度の高い備品あるいは緊急用備品を確認しておく.

2薬剤

 ACLSに使用する薬剤のほかに抗痙攣薬,鎮静薬,抗潰瘍薬,抗菌薬などの種類を確認しておく.

3画像検査

 単純X線,超音波検査,CT,MRIなどの利用の有無について確認しておく.

4血液生化学検査

 緊急時の検査項目を確認する.血糖,末梢血,血液型,クロスマッチ,CRP,肝腎機能,凝固(Dダイマーを含む)などの有無により,診断の戦略が変わる.

5オンコール体制など

 頭部外傷や急性腹症や緊急手術,上部消化管出血で緊急止血が

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