A.ER診療のポイント
●頭痛や胸痛と同じように,腹痛の患者の場合も緊急度の高い疾患から考える.
●重症度・緊急度が高い場合は,緊急処置が診察に優先する(⇒本項B参照).
●患者を見たときの第一印象が重要である.たとえば,一人で歩けず家族に支えられ,顔色不良(蒼白,土気色,冷汗),頻呼吸,意識低下や不穏状態,などは緊急のサインである.
●腹痛をきたす疾患は腹腔内の臓器だけとは限らない.腹部に隣接する部位(後腹膜,胸部)や全身の疾患でも患者は「腹痛」と訴える場合もある(図1図,2図).
●腹腔内の疾患でも,時に肩や背中,大腿部などに放散痛や関連痛をきたすことがある(図3図).
●手術や入院,内視鏡的検査や処置が必要なら各科専門医へ確実にコンサルテーションする(本項D-2を参照).
●痛みの場所を上下,左右の4分割にして考えるとすると鑑別すべき疾患を考えやすい(図1図,2図).
●年齢と性別を意識し,腹痛をき