診療支援
治療

乏尿・尿閉
oliguria and urinary retention
若生康一
(新潟市民病院・救急科)
廣瀬保夫
(新潟市民病院・救急科部長)

A.ER診療のポイント

●乏尿とは,様々な原因により尿の産生が著しく低下して1日尿量が400mL以下となった状態である.乏尿は大きく腎前性,腎性,腎後性に分類される.乏尿状態が継続すると体内老廃物の排泄が低下し,水分・電解質のバランスが崩れ,いわゆる腎不全の状態に陥る.

●尿閉とは,膀胱内に貯留した尿を排出できない状態である.尿意切迫感や下腹部の膨隆などの症状を訴えて救急外来を受診することが多い.原因として下部尿路の閉塞があり,この状態が継続すると尿路感染症や腎不全に陥る.

●乏尿と尿閉では救急外来での処置やその後の治療が全く異なるため,最初に鑑別を行うことが重要である.鑑別は病歴聴取や身体所見,超音波検査などにより非専門医でも比較的容易に行うことができる.

●乏尿の中でも上部尿路が両側性に閉塞しかつ膀胱内に尿の貯留がない場合は,腎後性乏尿と診断される.尿閉の場合と同様に泌尿器科的な処置が必要とな

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